毎日の暮らしに欠かせないもののひとつが燃料の薪であった。冬場の暖をとる、茶を沸かすイロリは年中に焚いていた。イロリの火種は灰をかぶせて消さないようにする。着火する時には端に硫黄のついた付け木を使う。杉の枯れ葉はつきやすかった。ヘッツイ、オオガマでの煮炊き、蒸しもの、そして風呂焚きにと、一年中火が焚き続けられた。くべるものは薪である。木の根っこ、蚕が食べた後の桑の枝木、茶垣の切ったもの、雑木の粗朶(そだ)など燃料になるものはすべて焚かれた。この燃料の足しには落ち葉が良く用いられ、中でも松の落ち葉はイロリによく焚かれた。農家はその燃料を自給できたが、非農家の場合は買うか、他の家の山から枯れ枝をひろい集めなければならず、それは毎日の仕事であった。杉やカシ枯れ枝は火力が強く燃料としてとてもよかった。
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図4-28 イロリのそばでお茶を一服 飯山達雄氏撮影・寄贈 小平市立図書館所蔵(1957年頃) |
表4-7 大沼田の一年間の食関係の購入の例(「金銭出入覚帳」(昭和12年)大久保粂次郎家文書より作成) |
食品・経費項目 | 購入数量と購入先他 | 金額 | 備考 |
白米 | 三等白米3俵他 | 38円90銭 | 12月2件で白米3俵の額が大きい |
川越、西荻の店 |
精麦 | 9~12月分搗賃 前沢野村 | 8円30銭 | 麦・米搗き賃 |
麦・米搗き賃 | 押麦2俵と米1俵と丸麦籾の搗賃×2件 田中搗き屋 | 2円14銭 |
米糠 | 50俵 中野の高橋にて | 52円50銭 | 沢庵加工用 |
米糠 | 45俵((山)小印)保谷の野口屋 1俵に付1円45銭 | 58円也 | 1、9、12月に購入 |
米糠 | 3俵 西荻窪 小嶌屋 | 3円90銭 | 沢庵加工用か? |
米糠 | 5俵 | 3円50銭 | |
米糠 白米 | 50俵ほかに白米約定金 | 20円也 | ※(米糠 全153俵分小計137円90銭) |
高円寺の高橋米店 |
鯉 | 2匹 魚屋が売りに来た | 30銭 | 滋養のため |
魚 | 鰍ノヒラキ | 30銭 | |
鮭二本代 | 85銭 | |
豆腐 | 豆腐6丁が2件 | 40銭 | |
焼豆腐 豆腐 | 37銭 | |
油揚豆腐が3件 | 73銭 | |
ウキ粉 | ウキ粉五百目 | 40銭 | |
菓子 | 菓子 | 30銭 | |
菓子 | 高橋へ支払 菓子之代 | 10銭 | |
菓子 | 菓子折 | 40銭 | |
鰹節 | 鰹節14本他2件 | 5円也 | |
粉名 | 粉名2袋+4〆500目他 高橋他にて購入 | 13円09銭 | |
おかず類 | 埼玉漬物店にて鮭1本他に砂糖、数の子、ごまめ代 | 2円56銭 | 正月準備であろう |
砂糖 | 砂糖 | 50銭 | |
| 玉砂糖(8件) | 2円17銭 | 昔は三種類、白砂糖、玉砂糖、ザラメ(粗目) |
砂糖晒(カ)アン代 | 85銭 | |
塩 | 4叺と1件代 | 7円17銭 | |
酢 | | 10銭 | |
醤油 | 中里極上醤油9升 | 3円33銭 | 醤油は9月~12月間に5件 |
中里町田醤油9升 | 3円33銭 | |
醤油1斗 + 1斗 | 4円也 | |
亀甲万醤油ビン詰 4本 | 2円84銭 | |
米麹 | | 50銭 | |
蕎麦 | 2束 | 18銭 | |
大豆 | 1斗5升 | 3円20銭 | |
だんご | | 30銭 | |
昼食代 | | 10銭 | |
佃煮 | 佃煮折 2件 | 1円12銭 | |
キャベツ種子トナス胡瓜 | | 1円也 | |
葱 | 1把 | 18銭 | |
杯チョコ | 10個 | 35銭 | |
干し饂飩 | 4箱 | 6円81銭 | |
蜜柑か? | | 10銭 | |
わかめ | 10把 | 50銭 | |
酒 | 上酒3升 | 4円50銭 | 大宮前伊勢 |
| 食関係合計 | 255円62銭 | |
※→これは肥料として、使うものがどれほどかわからない。 |