かつての農業技術とそのサイクル

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 年間の農事暦は各農家が農家経営の主軸をどこに置くかでそのサイクルのありようも違ってくる。その農事暦全般については、これまでの聞書きで作成した表4-9を参照していただきたい。
 
表4-9 換金作物の農事暦の例(戦前)
図4-13

 かつての年間の農事サイクルに話が及ぶと「思い返すと冬でも夏でもひっきりなし忙しかったな、この月は仕事が無いなんてことはなかった。しいていうならば、冬の間が比較的楽だったかもしれない。」と、どなたも述懐されている。かつての農業生産は、作付技術の過程のすべてにおいて、天候と時期を逃がさず行うことが大前提であった。そうしたなかで何を作付け、どんな施肥管理を行うかのみでなく、一年間のどの時期に、持ち畑のどれほどの広さに、何をどれほど作付けるか、また後作に何を作付けるかということが念頭に置かれる。ここでは昭和年代三、四十年代の農家の作付の主軸であった麦とさつまいも作り、そして次の項には近代農法によるモロキュウ、軟化ウド作りを述べていきたい。