麦作の間作のさつまいもと里いも

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 麦は、どの農家でも作っていたわけだが、その作付面積は多くの農家の場合、農家の持ち畑がほとんどおおわれるほどの作付をしなくてはならなかった。したがって麦の後作に作るもの、例えばさつまいもや里いもの作付時期がきても、麦はまだ収穫時期ではないため、麦の植えられている同じ畝に間作したものである(図4-32-1)。大まかには麦は十月に種蒔きし、次の年の六月に収穫。さつまいもは五月に植えて十月に収穫する。
図4-32-1
図4-32-1 麦の間作にさつまいもを植える
さつまいもの苗植付は、畝の一番高い、麦のそばに植付ける。さつまいもの株間は30~35センチである。麦の間作の場合はさつま芋の苗は釣針植になる。

図4-32-2
図4-32-2
麦の間作。里いもは低い畝間の水分を保有できる位置に植える。里いもの株間は50~60センチである。

 麦は四月半ば過ぎると五十センチから六十センチほども伸びる。さつまいもを間作する時期には麦と麦の間はまるっきり日陰になる。麦の畝をさくって土寄せした畝の頂上、水はけの良い麦の株のすぐ隣にくっつけるようにさつまいもを植えていく。そのため麦刈りは、すぐ横にあるさつまいもの苗を刈らないよう配慮しての作業になる。麦を刈りとったあとの畑は一面のさつまいも畑が広がる。一方里いもは、麦の畝間の一番低い水分を含んでいる底の部分に植える。麦の間作のさつまいもの株間は三十から三十五センチである。一方里いもの株間は五十から六十センチでさつまいもの株間の二倍の間隔で植える。さつまいもの場合はつるが伸びていくので、その根元部分には陽が当たる。そのため、それほど株間を広くしなくてよく、一方里いもの場合は、株のある部分だけ育つ。里いもの場合株間が近いと、根元部分が陰になり陽が当たらない。一反三百坪でさつまいもが三千本入るとして、里いもの場合は半分の一千五百本の植付になる。一方間作しない場合の麦の畝間は三十センチほど、人がようやく歩ける程度に幅を狭くした。