麦刈り

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 麦刈りの鎌で、ノコギリガマが使われたのは昭和十年代に入ってからという。それまでは畑のクサカリガマで充分に用が足りた。むしろノコギリガマでは刃渡りが足りずクサカリガマの方が重宝したという。麦の株は大きく、一株をつかみきれない人は二回に分けて刈り、また、腕ききの人は麦の株を腕で抱え込むようにして一回に麦一株を刈ったという。さらに「百姓の天才」と言われた人がいたがその人は麦二株を一度に刈ることができたという。ふつう一反の麦畑の刈りとりは朝暗いうちから働いて二日から三日はかかる。前述の二株を一回で刈った人は、一反を一日で刈りあげたという。鎌と刈り方についてはこの項の農具のところに述べている。