脱穀・乾燥

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 刈りとった麦は脱穀し、天日に干して乾燥させる。刈りとったはしから脱穀して干していく。天候の加減でそれがかなわない時は刈りとって積み上げておくが、長くは置けない。発酵してしまう恐れがある。
 乾燥は天日干しである。ムシロに広げて干す。農家によってはニワに三十枚ほど干し、ニワだけでは足りないのであと三、四十枚ほどは畑の道に沿って干した。街道沿いにある家ではあまり車が通らない時期には街道の両端が物干しになった。梅雨時期の天気の晴れ間をぬっての作業で、雨雲がでると大急ぎで取り込む。急いで畑への小路をリヤカーを引いていき、ムシロを畳んで積みこみ、物置まで運び込む。入道雲がでて雲行きが怪しくなったかと思うと、夕立は突然やってくる。この時期の作業はまず天候が左右する。麦刈りから乾燥作業までで一番厄介なものがこの梅雨時期の作業であった。麦の収穫はおよそ七月二十日頃までには終わる。乾燥は、朝から晩まで天日に干せたとしても三日か四日はかかる。天日干しをすましてやっと俵に入れられる。その頃からぼつぼつ梅雨が明ける。梅雨明けと同時に、再度大急ぎで、集中して乾燥作業に入る。真夏の日照りで一挙に乾燥させ、乾燥の最終段階の作業を終えることができるのである。乾燥させた麦は、内側がトタン張りの湿気の入らない箱に貯蔵した。乾燥した麦籾(もみ)は、トーミにかけて粒の等級を選別する。軽いものは風で吹き飛び、籾の重たいものがトーミの下の口から出てくる。これが一級品で売り物に回せるものになる。
図4-34
図4-34
陸稲の脱穀作業 飯山達雄氏撮影・寄贈 小平市立図書館所蔵(1957年頃)