苗の植付

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 種芋の伏せこみから一か月半から二か月たつと、苗が二十センチくらいまで育つ。その時期五月十三日から十五日頃にナイフや包丁、鋏でさつまいもの苗を切って畑へ植付ける。さつまいもは麦の間作に植えたものである(図4-32-1)。芋の苗は、七センチ位を残して切り取る。長さは二十センチほど。これを一番苗という。切り残した茎からまた芽を出す。それを二番苗という。二番苗は丈が短かくなる。二番苗を切り取ると三番苗が出てくる。植付後の苗の成長のぐあいは、一番苗がもっとも良い。
 切り取った苗を畑に植付ける。その植付方法には二つある。一つは昔から行われていた釣り針型といわれるもので、地中に入った部分を釣り針のように曲げて植え込む。もう一つは船底植えといい、これは昭和十七、八年頃から普及し、終戦直後の食糧増産の時代に盛んに行われた(図4-35)。釣り針型の植え方だと、地中でいもは二節くらいしかできないが、船底植えは四、五節もいもがなる部分があって増産に適していた。その場合の畝は幅広く高さも四十センチほどにした。船底植えだと一株で多いときには二貫目から三貫目、約十キロ取れたという。こうした方法で小平で増収日本一になった人が小川にいた。船底式に植えた一か所の根には房のようにいもがついていたという。昭和二十年以降マルチ式というたてた畝にビニールをかける方法が普及した。昭和初期頃はまだビニールは一般の農家では手に入らなかった。
図4-35
図4-35
さつまいもの苗の植え方-釣針植えと船底植え