切り取った苗を畑に植付ける。その植付方法には二つある。一つは昔から行われていた釣り針型といわれるもので、地中に入った部分を釣り針のように曲げて植え込む。もう一つは船底植えといい、これは昭和十七、八年頃から普及し、終戦直後の食糧増産の時代に盛んに行われた(図4-35)。釣り針型の植え方だと、地中でいもは二節くらいしかできないが、船底植えは四、五節もいもがなる部分があって増産に適していた。その場合の畝は幅広く高さも四十センチほどにした。船底植えだと一株で多いときには二貫目から三貫目、約十キロ取れたという。こうした方法で小平で増収日本一になった人が小川にいた。船底式に植えた一か所の根には房のようにいもがついていたという。昭和二十年以降マルチ式というたてた畝にビニールをかける方法が普及した。昭和初期頃はまだビニールは一般の農家では手に入らなかった。
図4-35 さつまいもの苗の植え方-釣針植えと船底植え |