温度を上げる

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 水かけが終わると次に穴蔵の温度を上げる作業になる。穴蔵の底に石油缶などを置き、その中で薪を燃やして温度を上げる。そうして穴蔵全体の室温を十八度から二十度くらいまで上昇させる。するとその温度に騙されて、伏せ込んだウドの根っこから新しい芽が出て伸び始める。一か月ほどたつとウドは約八十センチ位まで伸びる。その丈は穴蔵の天井に届くほどの長さである。出荷用の箱の長さは一メートルほどである。ウドを八十センチ位の長さにしないと箱に収まらない。ひと箱四キロ入る。曲げて入れると商品価値が下がるので、八十センチ位に成長したのを見計らってウドを切り出す。一か月の間、陽の目をみずに暖かいところにおかれていたウドは真っ白である。ひとつの穴蔵のウドの収穫は、その日の内に全部一斉に切ってしまう。伏せこみから大体一か月ぐらいで収穫である。これらの穴蔵での作業は、湿気の多い暖かいところでの仕事になる。しかも狭く、天井の高さが一メートルで、年中腰を曲げた格好で仕事をしなければならない。かなり体に負担がかかる作業であった。