ウドの根株を育てる

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 ウドの根株の栽培は、大半が委託栽培によっていた。委託栽培地は群馬県、そして長野県の軽井沢周辺、浅間山、発地(ほっち)、松本、青木高原などといった高冷地帯の農家である。ウドの種だけを持って行き、施肥も草取りも頼んだ農家のやり方で栽培してもらい、秋の根株の掘り込みまでを頼むので移動ウドともいう。また自分で畑を一年間借りて、ウドの根株の大事な生長期には現地に泊りこみで栽培する方法もある。委託栽培も畑を借りた場合も、できあがった根株一キロいくらの目方で買い取る支払方法になる。
 そこまで経費を要しても早出し出荷ができるため、高値がつく換金作物となる。小平の地で栽培したウドの根株を使って製品を作ると、収穫はだいたい十一月か十二月頃になる。委託栽培されたものより出荷時期が遅く、一斉に小平周辺の人が出すため商品の希少価値が落ちて、市場で思ったような値がつかないということもあって、高冷地の委託栽培によって行うが多かった。夏ウドなどは、地温の低い高冷地帯に頼んで作ってもらうと一か月半ほど早く出荷できる。畑の掘り出しも先方でやってくれるため、自分の手に入った時には、もう掘り取った根になっている点も農家にとっては助かった。ただ委託農家にはたとえば、どれくらいの長さに切ってほしいなど、注文をこまかく伝えておく必要がある。軽井沢の委託農家から来た根株の長さは三十センチ、一株の直径は二十センチくらいである。ひと株に芽が四つか五つほど付いている。そういう根であればすばらしいウドができる。来年のために畑へ植付けるが、種用としては別に取る。だから軽井沢から持ってきたものの中から、しっかりした株で芽が幾つもくっついているのは拾い出して種用にする。