鍬の所有数と購入

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 鍬や鎌の収納は一般に家のドマの壁にまとめてかけていた。鍬や鎌はその家の働き手の数はあり、例えばヒラグワの場合は畑をサクる作業は、ふつう一軒の家で一人か二人であり、三人とか四人でサクっていくことはなかったという。この辺は畑には石は少なく、土が軽いためその鍬先を直してもらうサキガケをしない家が多かったようだ。したがってふつうヒラグワは一、二本持っており、サンボングワは二、三本はあった。畑の所有反数が多い家は作代をおいており、その分鍬の所有本数は多くなる。そうした鍬や鎌などの購入先については所沢に買いに行く話がよく出る。農具に限らず勝手の用具、着物などの生活用品も所沢であり、田無にも出かけている。その他であれば府中になる。また、東村山の野口や秋津、田無、小金井の貫井に野鍛冶がおり、鍬の新調や鍬先の修理を頼んでいた。
図4-43
図4-43

草葺き民家のドマにある鍬かけ 飯山達雄氏撮影・寄贈 小平市立図書館所蔵(1957年頃)


表4-10 一年間に購入及び修理した生産生活用具と手間賃の例(「金銭出入覚帳」(昭和12年)大久保粂次郎家文書より作成)
費目小計項目数・購入先及び備考金額月日
鍬類マド鍬東村山野口の斉藤へ3円20銭(12 / 11)
7円80銭鍬の先直し秋津の鍛冶屋へ支払い1円60銭(7 / 16)
鍬の箆ノ代1円也(10 / 9)
金まんが2個75銭(3 / 17)
シヤプロ上等を1本(シャベルのこと)1円?5銭(2 / 28)
熊手1本代20銭(6 / 24)
切截具1丁1円10銭(1 / 14)
4円センテイ鋏1丁80銭(5 / 24)
さすが1丁(短刀のこと)1円10銭(1 / 10)
春苅鎌2丁 木鎌2丁1円也(5 / 5)
容器運搬類大リアカー使用 材料代2円70銭(3 / 29)
21円38銭空俵100俵7円25銭(12 / 27)
空俵・縄18・11円54銭(11 / 25)
灰籠8個(丸の中に中)で2円72銭(4 / 14)
トマト籠5個 野中籠や35銭(8 / 18)
肥籠6個3円30銭(4 / 4)
目無籠1個67銭(4 / 29)
造り込籠55銭(1 / 31)
楊笊60銭(1 / 31)
木嶌へ1円也(11 / 28)
改正桶修繕35銭(11 / 24)
桶の修繕35銭(6 / 2)
梱包用具181円也(11 / 26)
19円44銭5把50銭(11 / 24)
5把(丸の中に中)にて2円10銭(4 / 14)
30房 高橋へ58銭(8 / 3)
シロ縄と釘50銭(4 / 27)
俵のハヅシ縄353円20銭(12 / 1)
ハズシ縄4把40銭(3 / 30)
ハズシ縄35銭(12 / 11)
ハズシ縄660銭(12 / 2)
本莚610円?20銭(6 / 24)
者蒸用具釜を購入古釜を下取りだし 新釜を購入2円也(8 / 27)
4円釜〓口釜の〓事法の道具取付代2円也(10 / 9)
脱穀用具脱穀機購入11円14銭(8 / 13)
11円41銭
住用具トタン板10枚の代金 野口の斉藤金物店9円也(5 / 24)
14円12銭コヲルタ1鑵代 斉藤金物店1円50銭(5 / 23)
コヲルタ1升代20銭(5 / 23)
自転車布団自転車布團45銭(11 / 26)
障子紙、釘障子紙2本 釘高橋72銭(12 / 30)
障子紙、筆油障子の紙30枚 細筆58銭(3 / 13)
半紙半紙5帖他水引麻の代18銭(4 / 16)
半紙半紙10帖代25銭(4 / 1)
半紙半紙10帖の代24銭(4 / 1)
半紙半紙30帖90銭(12 / 3)
揮発油機発油10銭(3 / 25)
賃金脱穀料大麦、小麦の分9円16銭(7 / 21)
17円26銭田の掻き賃鈴木の深谷へ2円50銭也(5 / 19)
コヲルタ塗賃2円80銭(5 / 12)
コヲルタ塗賃70坪の塗賃2円80銭(5 / 18)
生産生活用具の購入他 計99円14銭