「小学校を出て、東京に奉公で働きに出ていける人は運の良いほうです。ほとんどが近隣の農家の作代ですね。昭和のはじめ頃で、一年三十円から五十円というとこでしょうか。」と、大正十年(一九二一)生まれの人が話していたが、東村山や久留米方面の農家は、小平に比べて規模が小さく、よく子どもを小平に作代に出していたという。どの家にどこから作代がはいっていたかについての統計的な資料はないのだが、個別的な史料の形では散見する。参考までに明治初期の事例(表5-5)を示したが、その出身地は、聞書きで確認した地域とそれほど変わりはない。
表5-5 作代の出身地の一例。「僕婢取調書 明治六年酉三月改メ」(斉藤家文書B-323)より作成 | ||||
雇 主 | 被 雇 人 | |||
廻田新田 | 川島太兵衛 | 多摩郡深大寺村 | 農 | 勘兵衛二男 半田慶次郎 18歳 |
〃 | 浅見四郎左衛門 | 同郡野中新田 | 農 | 永次郎長男 中嶋弥十 22歳 |
〃 | 〃 | 同郡人見村 | 農 | 源右衛門二男 加藤文吉 27歳 |
〃 | 〃 | 同郡境村 | 農 | 豊吉長女 平野さき 19歳 |
〃 | 神山権三郎 | 同郡堀之内村 | 農 | 初五郎二男 大野滝次郎 17歳 |
〃 | 〃 | 同郡内越村 | 農 | 辰五郎二女 石原もよ 26歳 |
〃 | 斎藤弥兵衛 | 同郡上連雀村 | 農 | 平蔵二男 吉田長蔵 19歳 |
〃 | 山田庄兵衛 | 同郡廻田新田 | 農 | 卯之助三男 小林弥次郎 21歳 |
〃 | 〃 | 同郡本宿村 | 農 | 徳次郎長男 関軍次郎 21歳 |
〃 | 斎藤輔九郎 | 同郡上連雀村 | 農 | 綱五郎長男 海老沢粂蔵 22歳 |
〃 | 〃 | 同郡戸倉新田 | 農 | 庄五郎長男 清水吉蔵 19歳 |
〃 | 〃 | 新座群上保谷村 | 農 | 伊左衛門三男 岩崎辰五郎 26歳 |