商店をめぐる試み

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 昭和三十年代の町報をみると、ねずみ駆除や赤痢対策といった衛生環境の向上をはかる記事の他に、新住民を意識した商店の指導に関する記事が登場してくる。そのなかに時折、「商店コンクール」と称して、商店のディスプレイを競う催しとその結果が公表されている。町と小平商工会が昭和三十年二月に開催したこの催しは、「商業振興施策として、商店の店舗外観、店内装置、商品陳列、採光照明、サービス、衛生施設等のコンクールを行い、その改善向上を図り、一般顧客に対して、さらに買よい、愉しい商店となり、商業機能の発展に寄与し、町の産業の振興を図り、他の市町村に流れる顧客を吸収することを目的(「町報」昭和三十年四月十二日)」としていた。応募店舗二十九店舗のうち、最優良店舗一店舗、優良店舗十店舗が選ばれた。審査総評には、「全般的に商店が余りに保守的すぎ停滞している感じが強い。新商品とか若い顧客に今少し注意してお客を指導して行く見識が欲しい」とある。具体的には、「立体的陳列の工夫」や「照明、価格表示の近代化」が必要とされるが、現状では顧客の満足を得られないと指摘している。このような催し自体が、商店が増え、顧客の目線に立ったサービスが意識され始めたことを示している。商店主も顧客も地元の者だけでなく新たな住人が増え、店舗も品物も選択肢の少ない時代から、複数の選択肢のなかから顧客に選ばれる時代へと変化していったのである。