商店街のまつり-学園坂商店会の事例-

564 ~ 566 / 881ページ
 時代とともに変遷を遂げてきた学園坂商店会は、積極的に新しいイベントを企画し実行にうつしている。そのすべてが継続されているわけではないが、それでも現状にとどまらず次々と新しい案を打ち出していくこと自体が、この商店会の特徴だといえる。以下にあげるのは、平成二十二年と平成二十三年に同商店会で開催されたイベントである。
(沖縄のエイサーからストリートギャラリーへ 四月)
 エイサーは、同商店会会長が福生市で初めてみたときに感動して始めたのがきっかけであった。その後、東京の杉並区のグループからも参加の打診があり、福生市と杉並区からくるようになった。しかし、毎年天候に恵まれなかったため平成二十二年にエイサーをやめ、三月の学園坂ストリートギャラリーに変更した。ストリートギャラリーとは、障がい者支援施設の関係者が仕掛けたもので、商店会の通りや店を彫刻や絵の展示会場として利用する、という企画である。おだまき工房という、障がいのある人たちの作品を制作、販売する工房と商店会が主催となって開催される。工房では裂き織りの鞄や小物等を作っており、材料の一部には商店会の寝具店で不要となった生地が使われている。布団の打ち替えで以前なら捨てられていた生地が、裂き織りという形で蘇(よみがえ)っている。当初は小平市からの助成を受けて開催されていたイベントであったが、後に武蔵野美術大学の学生も巻き込んで商店会で行うことになった。十日間程、各店に学生たちが制作した彫刻や絵画等が飾られる。町と学生との交流を促進する機会でもある。

(サンバカーニバル 七月)
 昭和六十二年から始まったサンバカーニバルは、平成二十三年で二十五回目を迎える(図6-39)。各大学の学生が集まって結成された学生サンバ連合のグループに依頼する。このグループは、浅草のサンバカーニバルでも優勝するほどの実力をもっている。当日は、商店会の通りの端から隣の学園一番街商店会の境まで数往復する。この日は青森や他の県の物産展も開かれる。

図6-39
図6-39
学園坂商店会が7月に開催するサンバカーニバル(2011.7.2)

(ねぶた 十月)
 ねぶたは、もともとは青森県の学生寮の寮祭として行われていた。学生たちがねぶたを作り、寮の敷地内でねぶたを運行させていたが、後に夕方から歩行者天国(毎日午後三時から)になる商店会の通りを貸すことになった。電線があるため高いねぶたはできない。浴衣も青森では毎年作り替えられるので、使われたものが寮に寄付されている。参加者はそれを商店会に申し込めば借りることができる。平成二十三年度は商店街でのねぶた運行は中止された。

(ハロウィン十月末~十一月初旬)
 平成二十年からはハロウィンも始めた。武蔵野美術大学と白梅学園大学、津田塾大学の学生でつくるサークルがイベントを企画し、それを当時の商店会会長に相談し、商店会で手伝うようになったイベントであった。子ども劇場も参加するようになり、関係者も仮装して通りの角に立ち、交通整理等も担当する。事前申し込み制で先着百名程度の参加をみこんでいるが、実際の人数は予定よりも増える。平成二十三年度は二十一軒の店舗が参加し、仮装した子どもたちが通りでスタンプを押してまわり、その後に各店で菓子をもらった。ハロウィン当日は通りを提供し、小学校で教えているよさこいの披露もある。

 このように商店会の通りをステージとして貸し、実行は主催者に任せるという形式をとり、各地で人気を博しているイベントを次々と取り込みながら商店会の今後を模索している。