一年のあいだに行われる様々な行事は、ともすれば平凡になりがちな日々の暮らしにリズムをつけ活力を与える。毎年決まった時期に行事が行われることによって、生活の中で一年の節目節目を実感することができるのである。
一年の行事は、地域の人々が集まって大々的に行われるものもあるが、それぞれの家で行われるものもある。家の行事はその家の記憶とともに世代を越えて受け継がれていく。したがって、各家によって行事の数ややり方に多少の差があるのは当然であるが、古くから小平に暮らしてきた農家の行事はお互い似通ったものであるのに対して、新たに他の地域から移り住んできた家の場合はその限りではない。本節では、古くから小平の農家に伝わってきた一年の行事について紹介する。
かつて小平が農村の風景を見せていたころは、だいたいどこの家でも一通りの行事を行っていたものだったという。しかし、時が経ち、世代が変わり、生活環境が変わってくると、行事を簡素化したり廃止したりする家が多くみられるようになってきた。そうした状況を時代の流れで仕方のないものとして受け止める人は多い。それでもせめて自分の代までは行事を続けようとする人、あるいは何とか次の世代も続けていってほしいと願う人もいる。