正月、小平市内を歩くと、民家の敷地と道路の境に御幣が挿してあるのをみかけることがある。これはミソカッパライという行事で使われる御幣で、大晦日、すなわち十二月三十一日のだいたい夕飯時に、家の主人がこの御幣を家族の頭に振りかざしてお祓いし、それから屋敷の境に挿して家族の安全を祈願するのである。
この御幣は、小平神明宮や熊野宮が頒布しているもので、その歴史は記録の上では江戸時代にまで遡ることができる(「竃神祭覚」「宮闢家(神明宮)文書 F9」)。小平神明宮の場合、十二月中旬、新年を迎えるにあたって神棚に上げる神札や御幣の頒布を始める。神札と御幣は神様に応じていくつか種類があって、伊勢神宮大麻(たいま)、神明宮大麻、竃神神符、竃神御幣、晦日祓い御幣などがある。熊野宮でも同様に神札や御幣を頒布している。