今ではほとんど見られなくなったが、正月十四日には繭玉(まゆだま)というものを部屋に飾った。繭玉はその名のとおり繭を模したもので、蚕の神様のお祝いであるという。この日、恵方(空の方)にある樫の木などの枝を切ってそれに団子とミカンを挿して座敷に飾るほか、神棚、仏壇、恵比寿・大黒、稲荷などの屋敷神にも供える(図7-12)。この写真は現在もある家で行われている繭玉であるが、この家では年神に供える繭玉の木は梅で、そのほかの神様は樫にしている。梅の木には団子を十二個、樫の木には五個挿すことにしている。
図7-12
繭玉 上水南町(2011.1.14)