エビス講

610 ~ 612 / 881ページ
 一月二十日と十一月二十日はエビス講という行事を行う。エビス様は商売と生産の神様といわれ、今でもそれに関係する仕事に就いている人は続けていることが多い。普段は台所に祀られているが、エビス講の日には神像を下ろし、家族の者が集まる適当な部屋に机を置き、その上に神像と供え物を並べる(図7-13)。

図7-13
エビス講の供え物 仲町(2010.1.20)


 写真をよくみると、エビス様の神像はいくつもあることがわかる。それは、家族の者が旅行先などで買い足していったからである。供え物は、朝は赤飯とケンチン汁、昼はうどんである。夜はこれといった決まりはないらしく、家で食べるものやお茶を供えている。魚は二尾で頭を向かい合わせるが、魚の種類に決まりはなく、昔はそのときに手に入る魚をあげていたという。今でもエビス講の一週間ほど前になると魚屋が注文を受けに回っているので、各家では魚屋に予め注文して魚を調達している。また、エビス様は商売と生産の神様なので、商売やお金に関係するような、財布や算盤(そろばん)などをエビス様の前にあげている。エビス講を続けているある人の話によると、これは鎌倉の銭洗い弁天にお金を出すような感覚と同じであるという。また、エビス様に枡をあげているのは、益々繁盛という語呂に合わせているという。