十五夜・十三夜

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 十五夜と十三夜は、今ではほとんどの家で行わなくなっている。しかし、今でも続けている家があるので、その例を紹介する。
 十五夜と十三夜は、九月の満月と十月の満月を拝む行事である。今も続けている老人の話によれば、彼は明治初期に生まれたお祖父さんとお祖母さんから、お月様が本人に代わって病気を引き受けてくれるので拝まないといけないと言われたという。月は日食、月食によって病気になるとの発想からである。そして、片月見はいけないと言われており、十五夜をしたら、必ず十三夜もしなければならないという。
 図7-16のようにして家のなかから月に向かって供え物をあげる。供え物は家で穫れたものを供える。ススキは一升瓶に五本くらい入れたものを飾る。十五夜の供物は丸いもの十五個、十三夜は十三個と決まっていて、丸いものなら何でもよく、団子でも饅頭でもよい。昔はモロコシ団子、モロコシ饅頭などがあったが、口当たりはよいが腹の具合が悪くなるものだったという。団子は夕飯のときなどに食べ、醤油を付けたり、冷蔵庫に入れて後から焼いたりして食べる。
図7-16
図7-16
十三夜の供え物 上水南町(2010.10.20)

 昔は十五夜と十三夜には子どもが供え物をもらい歩いたものだったという。子どもは手ぶらで来て、各家で一つ二つもらっていく。家の側からすると、子どもが団子を持って行って供え物が減ったままでも構わないという。ただ、話を聞かせていただいた老人の話によると、子どもも家を訪ねた以上、たとえ不味(まず)くても団子を貰わないわけにはいかないので、そうした場合は貰った後にその辺りに捨てていたという。