オカマノダンゴ

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 農家の台所にはオカマサマという竃の神様が祀られている。台所に設けた神棚に三本の御幣を立てて祀っており、今でもこれを祀る家を見かけることがある。しかし、オカマノダンゴという行事をする家は、今ではほとんどみられなくなった。オカマノダンゴとは、十月三十日にオカマサマに団子をあげる行事で、この日をオカマの入りといって、オカマサマが出雲大社に旅立つ日であるという。
 今でもオカマノダンゴをしている家の例を紹介しよう。この家では、オカマサマには三十六人の子どもがいるので団子を三十六個、さらにオカマサマに付いていく馬方の分の二個を余分に作って、計三十八個を旅立ちの土産としている。一升枡に南天の葉を敷き、その上に団子を入れてオカマサマに上げ、手打ちのうどんも上げて灯明をあげる(図7-17)。この家ではかつては十一月十五日のオカマの中帰り、同月三十日のオカマの帰りにも神棚にうどんと灯明をあげていたが、現在では簡略化してしまったという。

図7-17
オカマノダンゴ 上水南町(2010.10.31)