図8-5 小平の組の概略(『小平市三〇年史』より) |
図8-6 小川一番の組(『小平町誌』より) |
また、言葉が交錯してややこしいのだが、組の中で、その家にとって両隣向かい、サシバ以外の家々を大組と称した。これも家によってどの家々が大組の範囲となるのかは異なってくることになる。さらに、組合とは、江戸時代の五人組を踏襲しているつながりを指すという。ただしひとつの組合が必ずしも五軒構成とはかぎらず、十軒近い組合もあるが、これは固定したつながりになる。この組合は付合場(つきあいば)とも呼ばれていた。ただ、これは結果として両隣向かい、サシバなどを含むことが多い。
表8-2に『小平町誌』所収の社会組織についての概略表を示した。これはあくまで目安としての表現にもとづいたものではあるが、この表からわかるように、こうしたつながりがもっとも重層しているのは旧小川村になる。こうした組織は、小川村の開墾定住があるおちつきをみせ、また村を構成する家々がある程度安定してきた時期以降に成立したものであろう。ことに制度にもとづく家々の区分でなく、互助的な自治組織になると、その成立時期の判断は明確にはできにくい。
表8-2 『小平町誌』に示されている市域旧村部の社会組織概要一覧 | ||||||||||
組織 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 備考 | |
両隣り向こう(両隣り) | 組合五軒組 | 差場 | 組 | 番組 | 大組 | 袖組 | 講中 | |||
小川 | 範囲 | 一つの家を底辺の中心とした三角状を呈し移動性を有する | 固定 | 一つの家を中心として移動性を有するがある程度限定される | 固定 | 固定 | 固定 | 4は番組によって存在しないところもある | ||
目的 | 日常的 | 行政的 | 日常的 | 日常的 | 行政的 | 宗教的日常的 | ||||
形成 | 自然的 | 所与的 | 自然的 | 所与的 | 所与的 | 自然的所与的 | ||||
小川新田 | 範囲 | 一つの家を底辺の中心とした三角状を呈し移動性を有する | 固定 | 付合場の中から自分の属する①を引いたもの(下) | 固定 | 固定(上) | (上)…上組の場合(下)…下組の場合3=8(上) | |||
目的 | 日常的 | 行政的 | 日常的 | 行政的 | 宗教的 | |||||
形成 | 自然的 | 所与的 | 自然的 | 所与的 | 自然的 | |||||
大沼田新田 | 範囲 | 一つの家を中心とした直線状を呈し移動性を有する | 固定 | 固定 | ||||||
目的 | 日常的 | 行政的 | 行政的 | |||||||
形成 | 自然的 | 所与的 | 所与的 | |||||||
野中新田 | 範囲 | 一つの家を中心とした三角状を呈し移動性を有する | 固定 | *不定 | 固定 | 固定 | 北野中の場合の例 *主として親類の中でことに親しい家 | |||
目的 | 日常的 | 行政的 | 日常的 | 行政的 | 宗教的 | |||||
形成 | 自然的 | 所与的 | 自然的 | 所与的 | 自然的 | |||||
鈴木新田 | 範囲 | 一つの家を底辺の中心とした三角状を呈し移動性を有する | 固定 | 限定 | 固定 | 固定 | 1の場合もっとも付合の密接な隣家を“いちどなり”という | |||
目的 | 日常的 | 行政的 | 日常的 | 行政的 | 宗教的 | |||||
形成 | 自然的 | 所与的 | 自然的 | 所与的 | 自然的 | |||||
回田新田 | 範囲 | 一つの家を中心として移動性を有する | 固定 | 固定 | ||||||
目的 | 日常的 | 行政的 | 日常的 | |||||||
形成 | 自然的 | 所与的 | 自然的 |