小平には共同で利用する入会地はなかったといってよい。そのため広く林をもつ家にいくばくかの金や小麦を届けて山そうじ-燃料・肥料確保のための落葉掃き-をする農家も少なくなかった。仲町の北の雑木林は、東村山や東久留米の人の雑木林が多く、小平の農家はよく山そうじに行っていたし、現在ブリヂストン東京工場のある一帯も同様に利用されていた。玉川上水の敷地内を分割して落葉掃きの場所として借りうけることがあったが、これは玉川上水の管理人との話し合いによったらしい。いずれも昭和三十年頃までこうした山そうじは見られ、一反の土地で小麦にして二升程度納めていたという。ただ、きのこ類は、誰がどの山に入ってとってもよかったらしい。小平の雑木林では、ところどころに松の木が混っていてサムサボウズ(小さなマツタケ)、アブラボウズ(シメジ)などがよく見つかったという。