商店の変化

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 昭和三十六年六月に発足した小平商工会は、平成二十三年で五十周年をむかえた。市域の宅地化がすすむなか、商店の連携、発展が求められる気運を受けての発足だったが、その前身は昭和二十七年十月に、小平町内の約八十の店舗で結成された小平商店連合会であるという。この前身の時代を含めると六十年ほどの歴史をもつことになるが、そのあゆみはそのまま小平地域の商業の歴史でもあり、また同時に、雑木林や畑だった土地に宅地化が進み、その住宅に暮らす人たちの需要を受ける形で、市域のここそこに商業集落が成立していくという景観の変化をしめしてもいる。
図9-10
図9-10
昭和39年の花小金井商店街 個人所蔵

 小平における商店及び商業のあゆみは、漠然とした記憶や印象では、三つの時代に区分されるようである。
 まず、地元に個人商店が増加していき、それらの店舗は住み込みの使用人をおき、手堅い経営を続け発展していた時代。次にダイエーをはじめとする大型のスーパーマーケットが次々に開店していった時代。そしてさらに、主要街道沿いを中心にコンビニエンスストアができていき、家々の消費生活のありさまが、なしくずし的にこまごまと分散する形でこれに頼るようになった時代の三つになる。
 小平でのダイエー開店は、昭和五十四年五月のことになるのだが、この時の地元の商店街の反対運動は激しかった。小平のみでなく、東村山、東久留米など、近隣の商店街も結束して反対運動を行い、大阪のダイエー本社へも何度か交渉に出かけている。ダイエー進出の反対運動が激しい土地として「西の熊本、東の小平」と言われるほどだったという。個人商店の経営が安定し、さらに発展が見込める成熟期に入ろうとした矢先でのできごとになる。そうした動向を見こしていたかのように、その後、大型店は次々と小平に進出してきた。
表9-1 昭和38年 花小金井商栄会店舗数
12345678全体
飲食料品小売5375643538
織物・衣類・身の回り品小売122131111
金物・雑貨小売22
書籍・文房具小売1113
医薬品・化粧品小売111126
機械器具小売11
その他の小売121116
材木112
建設業1113
飲食業3412111
理容・美容21126
浴場業11
クリーニング112
電気・水道業224
新聞11
写真1113
ガソリンスタンド11
総計15181515117911101
表中の「その他の小売」とは、カメラ、レコード販売、運道具販売、家具・インテリア、玩具と写真、時計、時計店、時計販売、生花、生花販売・園芸、セトモノ、陶器、熱帯魚販売、燃料、風呂販売を示す。『昭和38年度 会員名簿』より

図9-11
図9-11
昭和三十年当時の花小金井商店街(『小平市三〇年史』より)