機械化とサク

720 ~ 721 / 881ページ
 茶を間仕切りとした畑一区画の大きさと関係して、サクの切り方についてここで補足をしておきたい。小平市西部に、南北に伸びた畑を持つある家では、日当たりがよくなるように東西にサクを切っていたが、その向きでは、機械化した時に何往復もしなくてはいけないため、南北にサクをきるようになったという(図10-7)。

図10-7

茶垣に遮られることなく、畑の端までハラミチと平行にサクが切られている。右側列状に植えられているのは麦 小川町(2010.5)

 サクの向きは、例えば、「昔からの年寄りは今でも東西にきる」とも言われることがあるように、個人の経験や、また農地周辺に建った建物による日当たりにも左右される。そのため場所に応じて向きは一様ではないが、小平における動力耕うん機やトラクターの普及(表10-2)は、サクの向きや前述した畑一区画の大きさなど耕地の外観に影響を与えた要因の一つとなっていたようである。なお、人手不足を補い、農作業にかかる労力を軽減する農業機械ではあるが、機械が入りにくい場所や小さな畑での作業、少量の農作物の栽培といった事情に応じて、古くからの農具も使われている(図10-8)。
 
表10-2 動力耕耘機・農用トラクターの個人所有農家数と台数
(単位  戸、台)
総農家数所有農家数所有台数平均所有台数
昭和35年88350(駆 動 型)
114(牽 引 型)
1(トラクター)
1650.19
40年7683410.44
45年6973524010.58
50年6353614630.73
55年5773675410.94
60年5443685761.06
平成2年5023956951.38
7年4453787101.59
12年4342766071.40
出典:農(林)業センサス
*平均所有台数は、個人所有台数を総農家数で除した値


図10-8

小松菜畑に横づけされた軽トラックの荷台。左からレーキ、フリコミ、クサカケ、ヒラグワ 小川町(2009.3)