農業への姿勢

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 ここまで、農業と併せて不動産業を営んでいる家の土地利用の一例をみてきたが、農業以外の営みに対する取り組み具合は個々に異なる。不動産に力を入れるようになった家の様子が第二章第二節で紹介されている。この章でも、税金の支払いのために不動産を営む家について記述したが、一方で「補充するのに少しやるのはいいけど、やりすぎると(よくない)。本心は農家でやれるといい」と農業に積極的な家もあり、営業のため農家を訪れた不動産屋を雑草が丁寧に取り除かれている畑へ案内し、農業に力を入れていること、転用の意志がないことを示す、そんな家もある。気づけば、農業という生産活動は、隣近所を見渡すとどの家でも行っている当り前の営みから、取り組み具合に少なからず違いがみられる営みになっていた。農地の転用が進み、生計の多様化が進んできた過程は、個々の生活や人生のなかで農業という営みが持つ意味を、あらためて見直す過程としても捉えられよう。
 この章で以下に述べる、農地と住宅地とが混在するなかでの農業のありようは、そうした形で個々の考えが反映されたものになるだけに、必ずしも一般化できない事例も含まれている。