種々の商品作物

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 農地が減少してゆくなか、小平ではどのような作物が作られてきたのだろうか。表10-3は『統計書』(小平市)と『こだいら市勢要覧』(小平市)の記載にもとづき、昭和四十年~平成十七年にかけての農作物の栽培面積の推移を十年間隔でまとめたものである。ここで依拠した統計には、少量ではあるものの多くの家で自家用に栽培されていたような農作物は上げられていない。そのため、この表も小平の畑の状況そのものを示すわけではないが、主要な農作物についてはその栽培動向をうかがうことができる。
表10-3 主要作物の変化
単位  a
19651975198519952005
麦・陸稲・雑穀2776533201521288188
かんしょ92762217959383384
ばれいしょ52362169169211721027
なす373281376408
とまと155245354404
きゅうり439439428446
すいか17605835
だいこん31491535128011541063
かぶ266250195154
ごぼう40625374059886
にんじん453648407432
さといも16481485218321021476
ねぎ387384659526
白菜22281067697649526
小松菜7511018964881
キャベツ157417961071938
ほうれんそう1111800120813011160
うど317128861500743311
ブロッコリー(花やさい)25045012361218
なし5671007114810691031
くり17875049414519061861
うめ914842814655
ぶどう242
ブルーベリー293
2924176377000
232826561415689256
出典:『統計書』(小平市)、1965年のみ『こだいら市勢要覧』(小平市)
*作物名の表記は原資料にもとづく
*「―」は原資料に無い項目、もしくは数値が未記載であることを意味する

 全体としてみると、「麦・陸稲・雑穀」の面積が大幅に減少する一方で、果樹や野菜が相対的に面積を増加させている。小平の農地が減少傾向にあるなか、「なし」の作付面積は二倍近くになっており、野菜も現在、小平の作付の過半を占めるまでに増えている。もっとも、野菜のなかには、この四十年の間に作付面積を増加させたものがあれば、減少させたものもある。「かんしょ」「すいか」「ごぼう」「うど」は、表中、昭和四十年時と較べて一割未満まで作付面積を減少させている。ただ、平成十七年までに消滅しているのは「茶」と「すいか」の二種に限られており、主要な農作物の多くは、栽培自体は続けられてきたとみることができるだろう。昭和三十年代まで作付の大部分を占めていた「麦・陸稲・雑穀」も、統計の上で激減しているが、後述するように、ワラを利用するために、少量ではあるが現在も栽培されている。飲食店を営む家では、うどんを作るために麦を作っているところもある。
 また、表には上げていないが、花卉(かき)と植木も昭和三十年代以降生産が拡大している。植木には、住宅地の庭木や、公共施設の植樹、街路樹など都市化にともなう需要があった。
 このように新しい作物が導入され、定着していく時の様子を、果樹栽培の主力のひとつである梨を例にみてみたい。