保冷庫が登場してからは、根株をその中で冬眠させておき、夏に出荷するという形態もとられるようになる。
また、長野県や群馬県の農家に根株の栽培が委託されるようにもなった。委託先でのウドの植付は三~四月に行われ、十~十一月には掘り上げられる。これを小平の農家がトラックで持ち帰り、ウドムロに植えると、暮れの二十日頃から収穫することができた。小平の露地で作った根株を使うよりも早く収穫できるため、栽培を委託することで、それまでもよりも一回多く出荷できるようになったという。
ウド栽培については第四章第二節で詳述されている。そのためここではあらましを確認するに留めたいのだが、保冷庫や依託栽培を導入することで、それまでよりも出荷時期を前後に広げられた様子がうかがえる。出荷時期の調整は市場での商品価値を高めるための工夫であったが、こうした工夫はウドに限ってみられたものではない。ウドが栽培されるようになる前にサツマアナに保管されていたさつまいもも、秋よりも冬に出荷すると販売価格が高くなり、更に四~五月までおいておくとより高くなったという。