集客のために

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 集客力は多くの家で気が配られる点のひとつである。立地という点から見ると、ここで紹介した道路沿いのほか、コンビニエンスストアやパン屋といった店舗のお世話になり、その店先で売るといった例も見られる。
 もとより集客力を維持するためには、何よりも農作物そのものの品質がものをいうし、宣伝や情報発信の仕方も影響する。例えば、扱っている品が道路から一目でわかるように、生垣に掛けられた品札や(図10-32)、直売所の移動を示す案内板からは(図10-33)、道路に面していない直売所の工夫をみてとれる。また宣伝のための幟もよく目にする。そのなかには小平市観光農業協会によって準備されたものもあり、庭売り直売に対して足並みをそろえた家々の対応をうかがえる。
図10-32
図10-32
庭売りの品札(2009.3)

図10-33
図10-33
案内板(2009.9)

 庭売り直売にみられる工夫は、防犯や集客にともなうものだけではない。時には、売り物の品質を保つために日よけに気が配られることもある。青を基調にした屋外用パラソルの陰、膝丈ほどの丸テーブルの上に幾種類かの野菜を並べた直売所が青梅街道沿いにある。平成二十三年七月、日差しが強かったある日、この直売所のパラソルには簾が下げられていた。また別の日には、簾と併せてクーラーボックスも用意されていた。こうした工夫のひとつひとつが、売り物の種類や量の選択とも合わさって、現在の庭売り直売に個性をもたらしており、直売所も、数種類の品を台上に並べた素朴な所から、小屋掛けをしている所まで様々である(図10-34~10-38)。その違いは各家の庭売り直売に対する積極性の濃淡も一面で示している。
図10-34
図10-34
畑のなか、一種類だけの素朴な販売 小平市西部(2009.3)

図10-35
図10-35
素朴な一例。玄関先にて(2009.9)


図10-36
同じく素朴な一例。こちらは道沿いに設置(2009.12)



図10-37
小屋掛けされるとぐっと品数が増える(2009.3)



図10-38
手前の小屋は見た目が新しくやや大きい。規模が拡大されたのだろうか(2010.5)