共同直売所

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 近年、農作物を直売する際の選択肢のひとつに、東京むさし小平経済センター共同直売所が加わった。平成十二年に、「活力ある農業経営育成事業(東京都、小平市)」の助成を受けて建てられた直売所であり、市内の農家で構成される「東京むさし小平経済センター直売会」(以下「直売会」と略す)と東京むさし農業協同組合とによって運営されている。
 現在、百名ほどの直売会の会員が、朝採りの野菜をプラスチック製のコンテナに入れてこの共同直売所に持ち寄っている。おのおの直売所内の好きな台の上にコンテナを置くことができるので、熱心な会員は、好みの場所を確保をするために朝早くから直売所の入口前に並ぶという。出荷者ごとに商品が並ぶ仕組みのため、時期によっては同じ種類の野菜が直売所内のいろいろなコンテナに並ぶ。そこで出荷者は、価格で差別化をはかったり、コンテナに貼り紙をし目を引くといった工夫をすることになる。なお、コンテナの持ち込み数は一人三個までとなっており、商品が売り切れると農協の販売係が補充する。共同直売所の利用には手数料がかかるのだが、その一部はこうした人件費にあてられている。
 商品には各人に割り当てられた番号、商品名、値段を記載したバーコードラベルが貼られる。これは出荷者が自宅もしくは直売所で作成して貼る。出荷者は、このラベルのデータから各々の直売の状況を確認することが可能で、例えば商品名ごとに売上げを比較できる。
 商品の多くは午前の間に売れ、午後は品薄になる。こうした販売状況はメールで個別に配信されるため、出荷者はその状況をみて再び農作物を持ち寄ることができる。夕方四時になると、コンテナを引き上げるために、再び出荷者が直売所を訪れる。この時、売れ残った商品は持ち帰る決まりである。
 以上、共同直売所の利用の流れを概観してみたが、その仕組みや決まりは直売会の規約によって定められており、販売可能な野菜の規格も指定されている。このような条件があることが、各家での庭売り直売と大きく異なる点である。
 共同直売所を支えている農協は、直売のほかに学校給食へ販売する時の仲介(表10-8)、契約野菜の取り扱いなどを通して農作物の出荷に携わっている。学校給食にともなう事業には、平成二十年度以降、地場産農産物の地産地消と市内の農業振興を目的として市から助成が行われている。東京都内の市場に近い小平の場合、農作物販売時の農協と農家のかかわりは、上記のいくつかの場面に限られるが、営農資金の貸付や生産資材の購買をはじめとして販売事業とは別の形で、両者はかかわりを持っている。各家で状況に合わせて様々な資材を使用するさまは先に述べたが、農協の生産資材の取扱高も増加してきている。また、農家数は減少する一方で農協の組合員数は昭和四十一年の一千三百十六人から昭和五十七年には二千二十五人と二千人を超えるまでに増えている。
 
表10-8 学校給食における地場野菜の年間注文量の推移
単位  kg
年度(平成)181920212223
ほうれん草9931460107013441529732
じゃがいも0473214311061325557
さといも298147208234259218
大根138635072814382525543906
小松菜310653401102518561602
キャベツ021592818406003425
白菜11695498791728636729
ブロッコリー295354392298133133
うど85101898578238
トマト6464000
枝豆188900151197
長ネギ2080114118678802121
にんじん82033312290357021832263
きゅうり1010122411578141371
なし01150115011701120
かぶ14507586147
玉葱22341394110219102671
小計55641637518167226261556421430
*「―」は原資料に無い項目、もしくは数値が未記載であることを意味する
出典:小平市学校給食センター所蔵資料