これまでの記録活動

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 この章では、伝説、昔話、民謡について述べるのだが、現在小平市では、これらを従来の民俗伝承的な形の語りとして聞き、記録することがきわめて困難になっている。ここではそのおおまかな概要といくつかの例を示すにとどめたい。
 ただ、「小平民話の会」というグループによって昭和五十一年から五十六年までに地域のお年寄から採話をした民話が『小平むかしむかし』という本にまとめられ、小平郷土研究会から発行されている。この中には再話者がお年寄りからの話の表現を補足してまとめたものも多く、必ずしも古老の語りそのままではないものも含まれるそうだが、小平でどのような話が語りつがれてきていたのか、ある程度類推することができる。
 今回の「小平市史」の調査において、若干ながらこうした話を記録することができた。そのなかで多かったのは狐にかかわる話である。不思議なできごとが、狐に収斂(しゅうれん)する形で語りつがれてきた話ということにもなろう。聞くことができた話自体の総数が少ないため、必ずしも小平には狐にかかわる話が多く伝承されていたとの判断はできないかもしれないのだが、いくつか例をあげてみよう。