4.狐の提灯行列を見た話

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 この話は昭和元年頃、私が小学校一年生の時、今の昭和病院に行く道路(東京街道)入口東にある竹山の南(現在宮崎庄一様宅)の処に、兄辰季と当麻久五郎氏と金子文一と私の四人で遊んでいて夕方になり薄暗くなった時、南西方面丁度延明寺方向に右から東に丸い提灯が同じ間隔で次から次と続き、東から順に消えて行くのをみんなで見ていたが、誰かが「狐だ」と言ったのでみんなバラバラになって夢中で家に逃帰ったことがある。今考えて見てもあの頃は東京街道から青梅街道までの間全部畑で家は一軒も無く、又当時は自動車は殆んど通らず月一、二台走る位で、今の西武新宿線は昭和二年四月十六日開通でまだ電車も通っていない時だったので、狐の提灯行列としか思い[え]ない不思義な想い出である。