幕領を支配するのは、代官(幕府代官)である。代官は幕府勘定所配下の役人で、禄高は一部を除き一五〇俵未満の小禄役人である一方、一人で、三万石から多ければ一〇万石以上を管轄していた。代官は支配地域の中核に陣屋(じんや)・出張陣屋(でばりじんや)を構える一方、江戸の自らの屋敷を役所に改築し、江戸と支配地域陣屋との二か所を拠点に支配・行政を行った。多摩地域では、後述する通り、徳川家康の関東入国後、八王子陣屋(はちおうじじんや)を中心として各地に陣屋が設けられ、新田開発やインフラ整備が行われるが、宝永元年(一七〇四)に陣屋はなくなり、江戸の代官役所から直接支配を受けるようになる。