寛政改革期の代官政策

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寛政期(一七八九~一八〇一)、幕府は老中松平定信(まつだいらさだのぶ)のもと、寛政の改革を実施する。改革の趣旨は多岐に及ぶが、幕府の官僚制度や代官制度にも大きな影響があった。これまでの代官制度は、勘定所系の徴税官僚による合理的な地域支配と、地方巧者による開発地の保護政策との対立・競合のなかで展開してきた。寛政改革以降は、仁政(じんせい)を前面に出し、地域の人びとの内面を教化することによって地域を円滑に支配するべく、儒者(じゅしゃ)など儒学の素養(そよう)を持つ者が代官となり、全国で、地域の実情をよく理解したうえで施政を展開し、地域課題を解決しようとする「名代官」が現れることになった。