村では、近世後期になり、さらに特徴ある印を使用することもあった。それが「村の印」ともいえる印である。前述した廻り田新田の「御用請取帳」には、廻状を送った先の村の署名捺印がされている。これらの印の印文は、「南野中新田」、「大沼田」などと彫られている(図2-90①②)。また小川新田の印は「武野小川村長」となっているなど、興味深い印文もみられる(図2-90③)。このように、村そのものを示す印文は近世後期に特徴的なものである。
図2-90 「御用請取帳」の村の印
各印のなかで判読可能な印文を「 」で示した。
安政6年(斉藤家文書)