地域と旅との関係をみると、大きく①目的地、②中継地、③出発地という三つに分けてとらえることができる。①は名所などの観光地や商業・産業の地、城下町などの都市である。②は街道を通過する旅人の休憩・宿泊の場、つまり街道沿いの宿場・城下町や町村であり、③は旅人が住む全国各地に広がる町や村すべてといってよい。
これを小平市域で考えると、三つすべてに当てはまることがわかる。①は、江戸近郊の名所「金橋桜花」が代表的なものとしてあげられる。また、②については、小平市域には東西に五日市街道と青梅街道、南北に川越・鎌倉街道と八王子・清戸街道が通っており、小川村には複数の旅宿が存在していたことがわかる。たとえば、幕末期の史料からは、小川村に吉見屋と木賃宿清水家の存在を知ることができる。