近現代編の構成

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 近現代編は、明治維新から現在までを全八章で構成しました。各章は時間の流れにもとづいて区分されています。時期区分では、日本全体の歴史の大きな流れと小平地域固有の歴史的要因、小平における行政組織の変遷の三つの組み合わせを考慮しました。
 全体の構成を理解してもらうために、六ページから八ページにかけて、近現代編の目次の章節項のみの構成を参考に掲げておきました。
 第一章「村の維新」は、一八六八(明治元)年から一八八八(明治二一)年までであり、維新の変革が小平地域におよび、地租改正や殖産興業、自由民権の展開が小平地域を大きくかえる過程を叙述しています。
 第二章「小平村の誕生」は、一八八九(明治二二)年から一九二〇年代半ば(大正末)までです。町村制にともなって一八八九年に小平村が誕生して神奈川県北多摩郡小平村になり、一八九三(明治二六)年には東京府に編入されて東京府北多摩郡小平村になってから、日清・日露戦争、第一次世界大戦をへて大正末までの時代です。
 第三章「学園開発と小平村」は、一九二〇年代半ば(大正末)から一九三六(昭和一一)年までです。小平村の場合、日露戦争や第一次世界大戦のインパクトよりも、一九二〇年代半ばからはじまる学園開発が大きな影響を与えたと考えられます。学園開発が進み、諸施設が小平村に移転しはじめる過程が叙述されています。
 第四章「戦時開発と町制施行」は、一九三七(昭和一二)年から敗戦をむかえる一九四五(昭和二〇)年までです。日中戦争が始まり、アジア太平洋戦争に至る総力戦の過程は、小平村に軍事施設や戦争関連施設の移転などの戦時開発の波をおよぼすとともに、くらしの統制を強めました。施設の移転にともなって人口が増加し、小平村は一九四四年に町制を施行して、東京都北多摩郡小平町になります。
 第五章「戦後小平町の出発」は、一九四五(昭和二〇)年から一九六一(昭和三六)年までです。小平町の戦後復興は、戦時開発の清算と戦後改革、近隣の立川基地の影響によってはじまり、急速に進む人口流入による郊外化のもとで、行政組織の再編問題(町村合併問題)があらわれ、工場移転が実現しました。
 第六章「郊外化と市制施行」は、一九六二(昭和三七)年から一九六九(昭和四四)年までです。ここでは、郊外化が進行しているもとでの市制施行(一九六二年)を時期区分の画期としました。人口の急増と郊外化がいっそうすすみ、社会基盤や行政組織の整備、学校教育の拡充、新しい行政課題など、新たな問題に直面した時代です。教育をめぐるPTAや市民の活動、公民館での社会教育が活発におこななわれたのも、この時期の特徴です。
 第七章「郊外都市と市民生活」は、一九七〇(昭和四五)年から一九八〇年代半ば(昭和六〇年頃)までです。第七章と第八章は、小平市における「長期総合計画」の策定を画期としました。小平市では、一九七〇年にはじめての「長期総合計画」が策定されます。第七章の時代には、人口流入がまだ続くなかで、よりよい市民生活・消費生活をめざす動きや、地域や団地の自治会の運動、教育や福祉をめぐる運動など、地域にくらす人びとがみずからくらしを改善する動きがあらわれ、行政との対話がはかられています。
 第八章「小平市の現在」は、一九八〇年代半ば(昭和六〇年頃)から現在までです。一九八五年には「新長期総合計画」が策定されました。小平市では「長期総合計画」の作成を重ねながら、よりくらしやすい地域づくりがめざされています。第八章の最後には、近現代の歴史的現在がどこにあるのか、小平の近現代の到達点をまとめています。
    小平市史 近現代編
 
第一章 村の維新
 第一節 七か村の維新と地域の枠組み
  1 明治維新と村役人
  2 明治政府の地域編成と地域の結びつき
  3 新たな制度と社会の変化
 第二節 地租改正と新田村落の由緒
  1 小平の農業生産
  2 地租改正事業の推移
  3 地価修正反対運動の展開
 第三節 改良への模索と自由民権
  1 玉川上水通船への期待
  2 茶業の導入と先義会社への参加
  3 農政の転換と小平の民権運動
  4 茶業の隆盛
 第四節 くらしを支える仕組みと文明化
  1 小学校と地域
  2 伝染病と医療の文明化
 
第二章 小平村の成立
 第一節 「改良進歩」をめぐる対立と小平村
  1 小平村の誕生
  2 壮士勢力の台頭
  3 茶業・蚕糸業組合をめぐる対立
 第二節 北多摩政界の再編と「改良進歩」の組織化
  1 北多摩郡正義派の結成
  2 東京府編入と川越鉄道
  3 政治と経済に揺れた小平
  4 茶業から養蚕・蚕種業へ
 第三節 日清・日露戦争と小平村
  1 対外戦争のはじまり
  2 日露戦争と小平村
 第四節 くらしを支える諸団体と青年
  1 青年の組織化
  2 諸団体の結成
  3 震災での支え合い
 
第三章 学園開発と小平村
 第一節 学園開発のはじまり
  1 「大東京」と郊外化
  2 箱根土地の小平学園開発
  3 郊外型施設の進出
 第二節 戦間期の行財政の諸問題
  1 戦間期の村財政
  2 小学校高等科併置問題
 第三節 くらしを支えるムラと教育熱
  1 くらしの防衛
  2 地縁と血縁による互助
  3 地域と教育
  4 衛生と医療
 
第四章 戦時開発と町制施行
 第一節 戦時開発と変わる小平
  1 軍事関連施設の進出
  2 軍需工業化と小平
  3 戦時開発と地域社会の変容
  4 農業の改良
 第二節 戦時統制と戦時体制下の行財政
  1 戦時統制の進展と生活物資の配給
  2 戦時期の村財政
  3 町制施行へ
 第三節 戦争とくらしの仕組み
  1 くらしの統制と合理化
  2 戦時下の医療・福祉
  3 教育と地域
  4 活動する女性
  5 アジア・太平洋戦争の出征者、戦没者、戦災死没者
 第四節 戦前・戦時の移動と生活圏
  1 生活圏と日常的な移動
  2 戦時開発と移動
  3 アジアのなかの小平
 
第五章 戦後小平町の出発
 第一節 小平の戦後復興
  1 戦時開発の清算と再出発
  2 農地改革
  3 農業の改良
 第二節 立川基地と小平町
  1 米軍機の墜落事故と賠償問題
  2 基地と平和運動
 第三節 町村合併の動きと町誌編さん
  1 町財政と社会資本整備
  2 小平町における町村合併の動き
  3 町誌編さんと地域認識
 第四節 郊外化と工場移転
  1 人口の急増
  2 工場の進出
  3 商業と交通
 第五節 戦後復興期のくらしを支える仕組み
  1 くらしの再建
  2 学校教育
  3 公民館と社会教育
  4 障害児教育と医療・福祉
  5 この時代の特徴
 
第六章 郊外化と市制施行
 第一節 小平市の誕生
  1 市制施行
  2 都市基盤整備と市財政
  3 行政の整備
 第二節 人口の急増と郊外化
  1 人口の急増
  2 住宅建設と交通網の発達
  3 農業の衰退
  4 工場と地域社会
 第三節 郊外化と地域意識
  1 小平郷土研究会の活動
  2 教員と郷土研究
  3 小学校社会科副読本と校歌
 第四節 郊外化とくらしを支える仕組み
  1 くらしと仕組み
  2 学校教育と保育
  3 公民館と社会教育
  4 医療と福祉
  5 「団地族」のくらし
  6 この時代の特徴
 第五節 戦後の移動と生活圏
  1 戦後復興期の移動
  2 郊外化と生活圏のひろがり
 
第七章 郊外都市と市民生活
 第一節 「長期総合計画」
  1 「長期総合計画」の策定
  2 市政のなかの「地元意識」と「緑」
  3 市財政
 第二節 郊外都市の基盤整備
  1 くらしやすさと社会基盤
  2 産業構造の変容
  3 商店会と大型小売店の進出
 第三節 市民生活・消費生活を見つめ直す
  1 消費社会への動き
  2 消費者行政の取り組み
  3 消費生活展とさまざまな消費者運動
 第四節 地域のなかの歴史をたどる
  1 伝統の維持と継承
  2 学校における郷土学習
  3 図書館の設立と活動
  4 小平市玉川上水を守る会の発足と活動
  5 高校生・大学生の地域研究
 第五節 くらしを支える仕組みと運動
  1 くらしと仕組み
  2 学校教育と保育
  3 公民館と社会教育
  4 医療と福祉
  5 運動
  6 この時代の特徴
 
第八章 小平市の現在
 第一節 市政の構想と課題
  1 「新長期総合計画」の策定
  2 「第三次長期総合計画」の策定へ
 第二節 地域のなかの歴史と文化
  1 歴史と文化をふり返る
  2 地域の歴史をたずねる市民の活動
 第三節 社会をつなぎ直すくらしの仕組み
  1 地域保健福祉計画の策定と福祉のまちづくりの推進
  2 社会をつなぎ直す
 第四節 新しい小平をめざして
  1 近現代史のなかの小平―「開発」「改良」「福祉」の歴史
  2 「くらしを支える仕組み」の歴史からみえること
  3 歴史に学び、未来をみすえる