小平では、遅くとも一八八一年には、四等小川郵便局が開局していた。この頃、北多摩郡では府中駅・田無町・下布田村(現調布市)・拝島村(現昭島市)に郵便局が開局していた。いずれも宿駅機能をもっていた村であった。開局時の小川郵便局の郵便取扱(局長)は、宿を経営していた森田蔦吉(つたきち)である。翌一八八二年には小川弥次郎が郵便取扱となって郵便局を小川家へ移転した。そして、一八八六年に小川郵便局が三等郵便局に昇格すると、小川弥次郎は郵便局長となっている。一八八三年の小川郵便局の集配地域と函場(はこば)をまとめたのが表1-7である。所轄範囲は小川村から北・西・南の地域に広がり、もっとも遠いのは岸村(現武蔵村山市)で、約一二キロ離れている。管轄戸数は二三四二戸である。集配にあたっては、各村に切手売下所があり、その門前に函場というポストが置かれていた。切手売下所の設置も村役人の役割だったようで、管轄村々の村役人が、自宅に切手売下所を設立している。小川村から東の地域は田無町の管轄だった。
表1-7 小川郵便局集配地域・函場一覧 | ||||||
村名 | 現在の市名 | 人口 | 戸数 | 集配里程 | 開函証印番号 | 売下人姓名 |
小川村 | 小平市 | 1431 | 242 | 1里 | ||
小川新田 | 小平市 | 582 | 84 | 1里 | 16号 | 並木源左衛衛門 |
上鈴木新田 | 192 | 27 | 23丁 | |||
野中新田六左衛門組 | 国分寺市 | 343 | 50 | 35丁 | 15号 | 関田安太郎 |
榎戸新田 | 223 | 35 | 15丁 | 14号 | 榎戸広太郎 | |
大岱村 | 東村山市 | 545 | 76 | 1里 | 1号 | 市川歌五郎 |
久米川村 | 1277 | 226 | 1里 | 2号 | 町田六左衛門 | |
野口村 | 1104 | 181 | 30丁 | 3号 | 小島龍叔 | |
回り田村 | 1015 | 153 | 27丁 | 4号 | 小町藤三郎 | |
清水村 | 東大和市 | 448 | 68 | 20丁 | ||
狭山村 | 609 | 94 | 15丁 | 5号 | 関田久米右衛門 | |
高木村 | 369 | 55 | 23丁 | 6号 | 宮鍋庄兵衛 | |
奈良橋村 | 454 | 74 | 15丁 | 7号 | 鎌田喜三郎 | |
蔵敷村 | 392 | 62 | 15丁 | 8号 | 鈴木重蔵 | |
芋窪村 | 954 | 170 | 22丁 | 9号 | 石井義之助 | |
中藤村 | 武蔵村山市 | 2702 | 409 | 26丁 | 10号 | 渡辺市太郎 |
横田村 | 216 | 38 | 27丁 | 11号 | 波多野市五郎 | |
三ツ木村 | 1263 | 216 | 25丁 | 12号 | 水越鉄三郎 | |
岸村 | 508 | 82 | 3里 | 13号 | 福井半右衛門 | |
19ヶ村 | 14627 | 2342 | 15里30丁 | |||
(出典)小川家文書「小川郵便局所轄郵便切手売下所及函場取調表」より作成。 |