税負担の増加

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小平の改正結果と旧反別を比較したのが表1-13である。小平では、一反あたりの平均地価は、田で三〇円前後、宅地で二〇円前後、畑は一〇円前後であるが、この三種の反別がいずれも、大幅に増加していることがわかる。耕作地の中心となる畑の反別は、とくに武蔵野新田六か村で大幅に増加し、大沼田新田・回田新田では倍以上になった。宅地もすべての村で大幅に増加している。一方、林畑・野畑などは、小川村で林畑が増加したのを除き、すべての村で旧反別の数%から一%未満にまで減少した。これらの村々が開発された頃は、村内に肥料確保のための秣場として、芝地や林を確保しておく必要があり、そのため、開発地として割り渡された土地は、すべてを耕地にはせず、一部を芝地や林のままで残していた。そして、そこは野畑・林畑として低額の年貢が割り付けられていた。新田開発後の検地時には、村の七割が野畑・林畑であった。これら野畑・林畑は、その後の開発のなかで徐々に耕地として開かれていく。しかし、検地後の実態調査や年貢の再割り付けは積極的にはおこなわれなかったため、実態としては耕地でありながら、地目は野畑・林畑のままであった場所が相当にあったと思われる。そうした場所が、地租改正によって畑と査定され、生産力に見合った地価を設定されることになったのである。この地租改正の結果は、改正段階での村の実態を反映したものであったといえるが、畑や宅地の地価は林野と比べると一〇倍以上の額となるため、地租改正は結果的に大増税となった。
 
表1-13 小平の地租改正結果(1878年6月)
地目宅地林畑野畑
村名反別収穫地価反別収穫地価反別地価反別地価反別地価
大沼田新田226116.13706.0911163412776.33811548.02894311854.228      
  (0.7136)(31.238)  (0.6673)(9.526)  (19.662)      
旧反別343664% 538415216% 21712435%182524508415
鈴木新田935566.4732909.85619417131336.45419879.7531948223732.913670.374   
  (0.7108)(31.115)  (0.6883)(10.238)  (19.157)  (0.6)   
旧反別78518119% 1309324148% 3611540%535930.10%677324
野中新田与右衛門組1150.68830.1171351820920.93413698.893106382130.721      
  (0.6162)(26.971)  (0.6832)(10.133)  (20.039)      
旧反別1012110% 751024180% 37821281%39399343415 
野中新田善左衛門組25161.69874.330975626655.7319753.999112342231.30840192.479 280.009
  (0.6650)(29.114)  (0.6721)(9.997)  (19.867)  (0.61)  (0.093)
旧反別   607315161% 78151440%3330211.20%3560 0.03%
小川村5433.299144.41442013223084.48245881.67356318760.15513375.919240.396
  (0.6984)(26.694)  (0.7341)(11.41)  24.586  (0.356)  (0.2)
旧反別18 300% 371964113% 2180 163%4315310%641230%
小川新田    16997201204.28817913.7841585283640.817248239.764   
      (0.7086)(10.538)  (22.957)  (0.398)   
旧反別8615 9358 182% 75112211%80601231.0%327221
回田新田98267.206315.443289910174.8912601.5044626878.179760.216   
  (0.7289)(31.906)  (0.6032)(8.973)  (19.0)  (0.3)   
旧反別   127415228%   127530.55%151515
(出典)當麻家文書「第十一大区各村収穫地価平均帳」より作成。
(注)( )は一反あたりの収穫・地価   △:旧反別では0だったものが地租改正で割り付けられたもの
  ▽:旧反別では割り付けられていたものが地租改正で無くなったもの  %は旧反別/地租改正反別