村税滞納問題の解消と村長の交代

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前述のように小平村では一九二〇年代後半から村税の滞納が大きな問題となっていた。小野新村長も滞納の処理に取り組み、引き続き納税奨励金を設け、納税意識を高めるために座談会、講演会、映画会等の宣伝啓蒙活動を繰り返し実施した。こうした村役場の活動もあって一九四〇(昭和一五)年には滞納が解消し、一九四〇年二月一一日(紀元節)に東京府から表彰された。

図4-11 納税完納賞のお椀
小平市所蔵

 村税滞納問題が一段落し、村政は落ち着いたかにみえたが五月二〇日、小野熊太郎が村長を突然辞任し、六月の選挙で東京府会議員に当選した。そして六月二〇日、溪桂岩が助役から村長へ昇格した。助役はしばらく空席であったが、一九四二年一一月二八日に村議の竹内平太郎(野中西)が推薦された(近現代編史料集① 八八二頁)。
 渓村長の下で戦局の進展にともない村役場の業務は繁忙をきわめた。そのさなかの一九四三年三月、溪桂岩が突如村長を辞任した。直ちに選考委員会が組織され、議論の結果後任には元村長で現府会議員の小野熊太郎が推薦され、村会でも異議なく了承された。三月一三日の村会で選挙によらず小野熊太郎が村長に選任された(近現代編史料集① 九一四頁)。
 小野が復帰し村政は一旦落ち着いたかにみえた。一九四三年七月には東京都制が施行され、これにともない村から村長、村議、常会長らに感謝状と記念品が贈呈された。八月二〇日に小野村長が突然辞任した。その後、竹内助役が村長代行を務めたが、九月に再度小野を村長にすべく八点にわたる要望書を渡して説得し、一〇月二九日に再び小野が村長に就任した。要望書には、執務にかんするもののほか、村税滞納問題が解消されたことにともない、「町制施行ニ対シテモ村民ノ要望」は切実であり「本年度内ニ町制施行ガ実現出来得ル様」取り計らって欲しい旨が盛り込まれていた(近現代編史料集① 九三七頁)。