戦時の人口急増

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戦時開発の結果、小平村に陸軍の施設をはじめとする総力戦関連施設が進出したことで、流入者が爆発的に増大した。施設の開設が集中した一九四二(昭和一七)年から四三年にかけての人口増加率は四五・九%、四三年から四四年にかけてが二三・二%という高い値を示しており、これは小平村および周辺町村の戦時開発の結果、戦争に関係する諸施設に勤務する軍人、軍属、工員、職員などが居住するようになった影響である。四二年から四三年にかけて一世帯当たり人員が六・一三から八・四三へと増加しているが、これは主として「準世帯」とカウントされる寄宿舎や寮に入居した単身の流入者が多かったことを示すとみてよい(※)。一方、四三年から四四年にかけての世帯数の急激な伸び(一五〇二→一八九五)は、そのほとんどを「普通世帯」の増加が占めていると考えられるので、この間に世帯向け住宅が増加し、家族で流入したものも増えたことを示している。そこには第四章第一節3で触れた住宅営団住宅をはじめとする戦時住宅に入居した人たちが含まれている。
※戦前の国勢調査等の統計で「世帯」は「普通世帯」と「準世帯」に分かれ、前者は一戸を構える単身者および二人以上の住居と生計を共にしている人の集まりのことで、住み込みの使用人や下宿人、間借り人は寄宿先の「普通世帯」の世帯員に含められた。一方、後者は「普通世帯」以外のもので、専業の下宿屋の下宿人、会社の社宅や学校寄宿舎の入居者、病院・療養所の患者、軍隊の営舎の居住者などについては、一棟(一調査単位)ごとで一つの「準世帯」と数える。したがって「準世帯」となるこれらの施設への入居者や農家の下宿人・間借り人が増えたことで一世帯あたり人員が増えたといえる。

 
表4-14 昭和10年代(1935~1944)の小平村の人口・世帯数
 人口世帯数1世帯当り人員増加率
1935年6,5811,0556.24
1936年7,0411,1176.307.0%
1937年7,2001,1236.412.3%
1938年
1939年7,2761,1746.200.5%
1940年7,3231,1806.210.6%
1941年8,2261,3036.3112.3%
1942年8,6741,4166.135.4%
1943年12,6571,5028.4345.9%
1944年15,5951,8958.2323.2%
(出典)『小平市三〇年史』より作成。
(注)1938年はデータが欠落。