一九五〇年代の町財政

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一九五〇年代の小平町の財政的特徴は、歳出における教育関係費の割合が、四〇%程度の高位にあったことにある。校舎建築事業は寄付金や町債の起債などによって対応するが、一方、議会や町役場、警察・消防といった経常費を支出する歳入構造は、どのような状況であったのだろうか。
 表5-7は、一九五四(昭和二九)年度の小平町歳入予算を示し、人口、世帯数とともにあまり小平町と差のない小金井町・国分寺町を比較対象としてあげたものである。小金井町・国分寺町では歳入総額における町税の占める割合が七〇%を超えているのに対し、小平町では六〇%程度であった。また内訳では、両町に比べて町民税で五%程度、固定資産税で五~一〇%程度低かった。その分、地方財政平衡交付金に頼るところが大きく、その割合は一五%を占めている。小金井町・国分寺町では一~二%程度で、他の北多摩地域では砂川町・府中町・調布町など交付を受けていない自治体もあった。つまり小平町は小金井町・国分寺町に比べて町税収入が十分でなく、その理由に町民税と固定資産税の低位性があげられる。
表5-7 1954年度小平町歳入予算と小金井町・国分寺町との割合比較
 小平町小金井町国分寺町
面積(km221.1010.2911.58
人口26,09524,05227,472
世帯数5,1725,1756,227
 (千円)総額に対する割合
町税 35,89660%72%75%
内訳町民税17,81330%35%35%
固定資産税14,05623%28%34%
電気税2,9555%7%5%
その他1,0722%2%1%
財政平衡交付金9,00015%2%1%
財産収入1100%1%1%
使用料手数料6501%5%5%
国庫支出金2,5284%6%2%
都支出金1,0032%1%1%
寄付金10%1%0%
繰越金2,0003%7%1%
雑収入6971%1%1%
町債8,00013%4%13%
合計(千円)59,88576,93274,370
 100%100%100%
(出典)『東京都統計年鑑(昭和29年度)』、『小平町報』第16号、1954年5月5日より作成。

 また表5-8は、同年の歳入予算における一人当たり、世帯当たりの町税負担額を示したものである。一人当たりの町税負担額は、小金井町・国分寺町が二〇〇〇円を超えているのに対し、小平町では一三七六円にとどまる。その内訳において、小平町の一人当たりの町民税負担比率は、小金井町に対して約五七%、国分寺町に対して約六五%、固定資産税負担比率は二町に対して約六〇%程度であった。三町とも地方税法に定められた標準課税率で課税しているため、町民税負担額が低位にあることは町民の所得水準が比較的低かったことを示し、また固定資産税負担額が低位にあることは、住居や宅地、工場や会社より得られる税収が少ないことが想定される。
表5-8 1954年度歳入予算・町税負担額の比較
 小平町小金井町国分寺町
町税(円)(円)(円)
  1人当たり1,3762,2932,033
  1世帯当たり6,94010,6578,968
内訳町民税   
 1人当たり6381,120945
 1世帯当たり3,4445,2044,170
固定資産税   
 1人当たり539902912
 1世帯当たり2,7184,1924,024
電気税   
 1人当たり113212127
 1世帯当たり571986562
その他   
 1人当たり415949
 1世帯当たり207275212
(出典)『小平町報』第16号より作成。