一九五〇年代の製造業

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『小平町誌』によれば、一九五四(昭和二九)年における小平町内の製造業事業所数は三七であった。規模別にみれば、すべての事業所が従業者数一九人以下であり、一〇人以上が三、五人から九人が一五、四人以下が一九であった。つまり、小平町には大きな工場と呼べるものはなく、ほとんどが従業員一〇人未満の小さな工場しかなかったのである。
 業種別の内訳では、食品加工業が一五、家具装備品製造業が四、家具を除いた木製品製造業が三、金属製品製造業が三と続く。食品加工業の事業所数が目立つが、小平町で食品加工業が盛んだったとただちに評価することはできない。北多摩郡内(立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、昭島市は含まれない)の製造業事業所構成比をとると、食品加工業が二五・五%を占めている。食品加工業の事業所が多い傾向にあることは、北多摩郡全体でいえる特徴であった(東京都『昭和二九年事業所統計調査結果報告』)。
 表5-14では、一九五四年、五七年、六〇年における小平町内の製造業事業所数を業種ごとに示した。一九五七~六〇年の三年間に事業所数は三七から五六に増え、一九六〇年になると、化学工業、ゴム製品製造業、鉄鋼業といった高度成長期を代表する業種の事業所ができている。一方で、食品加工業数はこの六年間でほとんど変化はなかった。また、表5-15は一九六一年四月時点における従業員三〇人以上を抱える製造業事業所の一覧である。従業員三〇〇〇人以上を抱える日立製作所武蔵工場をはじめ、ブリヂストンタイヤ東京工場、昭和電子といった大きな工場が誕生していることがわかる。このように小平町では、一九五〇年代後半に製造業事業所の様相が大きく変化したのである。
表5-14 小平町の製造業事業所数
 1954年1957年1960年
食品製造業151715
繊維工業23
衣服その他の繊維製品製造業
木製品製造業(家具を除く)326
家具装備品製造業435
パルプ製紙加工品製造業12
出版印刷同関連業1
化学工業1
ゴム製品製造業1
窯業土石製品製造業255
鉄鋼業2
非鉄金属製造業21
金属製品製造業332
機械製造業(電気機械器具を除く)1
電気機械器具製造業24
運搬用機械器具製造業215
計量器測定機、測量機械、医療器械、理化学機械、光学器械、時計製造業111
その他の製造業33
373756
(出典)1954年は『小平町誌』、1957年と60年は東京都『事業所統計調査報告』より作成。

表5-15 従業員30人以上の製造業事業所
(1961年4月25日現在)
事業所名所在地事業内容従業員数
株式会社日立製作所武蔵工場鈴木新田1450トランジスター製造3,186
ブリヂストンタイヤ株式会社東京工場小川2800車両タイヤの製造850
昭和電子株式会社小金井工場鈴木新田1380無線機器、測定機製造461
株式会社黒龍堂武蔵工場鈴木新田1448ハーモナイド・クリーム製造229
株式会社西原表面加工所小平学園東区37-1軽電機部品の超精密メッキ150
光洋電子工業株式会社東京工場鈴木新田332トランジスター、ラジオ、蓄音器製造130
愛国工業株式会社小川1847金型や(冶)具、工具96
三栄レコーダー製造株式会社野中新田善組402記録器製造業77
有限会社原工業所鈴木新田126軽合金鋳物47
東京電音研究所小川1655電気部品製造45
小岩井農牧株式会社小金井牧場鈴木新田1120農林・畜産業44
日本電子金属株式会社小金井工場鈴木新田1100高純度金属シリコンの製造販売42
合資会社島野精工所小川新田1062写真機部品製造34
三和電工株式会社鈴木新田1226電気機器の製造販売32
銀座乳業株式会社小平工場鈴木新田339牛乳乳製品製造販売30
東金木工所野中新田善組689木製家具製造30
中島食品工業株式会社野中新田善組23漬物製造30
(出典)小平町『こだいら町勢要覧 資料版 1961年』より作成。