映画会で学ぶ

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一九六〇(昭和三五)年一〇月からは話し合うことそのものを目的とした講座、「話し合い映画会」が開かれるようになった(図5-37)。「映画をみてその映画の教育的内容と自分たちの生活を話しあう学習」を目的とした集まりである。毎月、町内の集会所や個人宅など四か所で二時から四時まで、月々のテーマにそった映画をみて、感想や意見を述べ合う会を開いた。第一回目は小川五番集会所、学園西観音堂、大沼田村野さん宅、公民館分館の各会場に、それぞれ主婦四〇名が集まった。テーマは「団体のあり方」で、映画「婦人会日記」をみたのちに「婦人会の問題点」を話し合った。「どの会場でも婦人会を魅力ある婦人団体にするためには、若い会員の希望や実態をどのように取り入れるかが話しの中心」となった。「こうした話しあいが継続的に行なわれ、ものの見方、考え方、生活態度などが進歩していくことが期待」された(『小平町報』第六〇号、第六一号)。

図5-37 話し合い映画会のようす
『小平町報』第69号

 テーマは「生活の中のみえ」「話し合い」「話し合いのすすめ方」「父親と家族」「主婦のくらしの工夫」と続いていった。半年後には、開催場所が六地区に増加し、「みんな身ぢかな問題にテーマをおき話し合いを進めていますが、最近では活発な意見があちこちで聞かれるようになりました。これも少しずつですが婦人たちの間に考える習慣が、だんだんとめばえはじめているのではないでしょうか」と、町報はその成果を認めている(『小平町報』第六九号)。「話し合い」は確実に「考える」力を育んでいた。しかし、この映画会の開催は、地域の婦人会に依拠していたために、町民全体への広がりには限界があり、二年後にはその開催方法が変更となった。