明寿会の発足

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明寿会とは、先述した寿学級と明治学級受講者の同窓組織であり、受講の際に所属していたクラブ活動を継続して実施するために設立された。また、各クラブより運営委員を選出して講義や話し合いなどの自主的な学習活動もおこなった。その端緒は、寿学級の後に生まれた寿学級同窓会であり、明治学級の受講者を加える際に、寿と明治から一字ずつとり明寿会と改称された。
 同窓組織であるが、学級受講者以外の入会も認められていた。一九六八(昭和四三)年一〇月には会則が施行され、同年一一月には会誌『明寿』が創刊されている。会則で特徴的な点は、六三年に公布された老人福祉法の主旨にもとづいて、「会員相互の親睦、友愛を深め、市の団結に寄与する」などを目的に掲げたこと(第五条)、「政治運動に関与しないものとする」としたこと(第三条)である。一九六〇年代後半は地域開発などをめぐって各種の住民運動が盛り上がった時期であり、国や自治体と住民、もしくは住民同士の間で利害の対立がみられた時代であった。行政と住民、あるいは住民同士が対抗的な関係になっていた同時代の状況のもとで、「地域課題の担い手」を育成するという明治学級の行政意図を補完する団体としての性格を、六八年以降の明寿会は明確にしたといえる。
 明寿会では各会員が月二回から四回開催されるクラブ(短歌、盆栽など)で活動をおこなうとともに、月一回の定例会では会全体としての活動(講義、旅行など)をおこなった。行政が期待するような「地域課題の担い手」として明寿会が具体的な活動をはじめるのは、一九六九年二月、社会科クラブが設立されて以後のことである。七〇年四月、社会科クラブは市役所において、老人福祉事業や建設予定の市の福祉会館の構想、老人の就労問題などについて担当者と話し合い、老人実態調査を早期に実施してほしいと要望を伝えた。五月には立川職業安定所の所長を呼んで高齢者の就労について説明を受けている。七月の明寿会の定例会では、高齢者の集団就労に取り組む川越市の「さつき会」会長の講演が催された。高齢者の就労問題に関する行政との提携は、明寿会の活動の特徴となっていく(第七章第五節3参照)。
 表6-17は、明寿会々員数の推移を示したものである。明治学級が各年で開設されたため年々会員数が増加し、一九七〇年代半ばから八〇年代半ばの時期が会員数のピークであること(この点については、第七章第五節3で後述)、明治学級の受講者の特徴を反映して女性会員が多いこと、小平市に居住していない会員も一割程度いることがわかる。
 
表6-17 明寿会の会員数(1968-1992年)
 1968年196919701971197319741975197619771978
                   
合計313100.0285100.0312100.0337100.0358100.0371100.0418100.0509100.0542100.0534100.0
7624.36021.16219.96619.66217.36116.46916.58115.99317.29618.0
22973.221675.824177.226378.028880.430281.433981.141882.143981.042679.8
不明82.693.292.982.482.282.2102.4102.0101.8122.2
市内29694.626191.628089.729888.432289.933790.838491.945789.848589.548290.3
市外165.1248.43210.33911.63610.1349.2348.15210.25610.3529.7
不明10.30.00.00.00.00.00.00.010.20.0
 1979年19801981198219831984198519901992
合計538100.0487100.0479100.0507100.0525100.0476100.0556100.0350100.0351100.0
10319.19619.79119.010119.910119.29319.511620.96719.15916.8
42378.638078.037979.139978.741779.437679.042776.827378.028581.2
不明122.2112.391.971.471.371.5132.3102.972.0
市内49091.144190.643991.646792.148191.644192.651993.332392.333094.0
市外478.7469.4408.4407.9448.4357.4376.7277.7216.0
不明10.20.00.00.00.00.00.00.00.0
(出典)『明寿』各号より作成。
(注)各年の会員名簿をもとに、男女別は氏名から筆者が判断し、市内・市外の別は記載住所を集計したもの。