小平団地では、入居開始後まもなく自治会づくりの動きが生まれた。自治会結成発起人会が結成され、ガリ版刷りの『小平団地ニュース』を発行して、結成準備の動向を住民に知らせた。一九六五(昭和四〇)年六月二〇日、発起人会の呼びかけによるはじめての住民集会が開かれた。予想を上まわる参加者は集会所に収まりきれず、急遽「青空集会」となったが、そこではさまざまな団地生活の不満や改善の要望が出された(近現代編史料集④ No.一一九)。また団地自治会結成の是非についても議論となり、結局「仕事あっての自治会である。わずかでも仕事の成果を住民に返していきながら、本当の力をたくわえた、しかも大多数の住民の支持を得た自治会を作ろう」という方針にまとまった(『小平団地ニュース』第六号)。住民アンケート(回収率八一%)では、八七%の住民が「自治会が必要」と答えており、また過半数の住民が「積極的に活動したい」もしくは「すこしなら活動できる」と答えていた(『小平団地ニュース』第八号)。
こうした活動と議論をふまえて、同年一一月三日に小平団地自治会の結成総会が開かれ、自治会の結成が宣言された。会則では「団地居住者の生活環境の改善と相互の親睦をはかること」を目的とし、「対外的には自主的な自治団体であり、内部的には会員の意思を尊重し民主的に運営される」とされ、世帯単位を会員とするが加入は強制ではない。そして事業としては「生活環境の改善、保健、衛生、共同購入、防犯、防災、文化、娯楽の諸行事」が列挙されている。これに対応して、直後に開かれた第一回幹事会では「総務、財政、広報、保安、交通、教育、環境衛生、厚生事業、文化」の各専門部が幹事会内に置かれることになった(『小平団地ニュース』速報、一九六五年一一月一〇日)。なお同年一二月現在、居住世帯総数一七六六世帯に対し、自治会会員世帯は一五八一世帯で、自治会の加入率は八九・五%に上った(『さざんか』創刊号)。