小平市では、のちの一九七〇年代に福祉の取り組みが大きく進展する。一九六〇年代の小平市は、その取り組みを準備する時期にあたっていた。
福祉の取り組みを準備するうえで二つの画期があった。一つは小平市の誕生であり、それにともない、小平市福祉事務所と小平保健所が設置され、小平市社会福祉協議会も設立され、ケースワーカーや保健婦、民生委員などが配置された。二つには、小平市誕生にともなう人員の配置をふまえ、市内の精神科の医師や看護婦、保健婦、ケースワーカー、ソーシャルワーカー、民生委員などが加わって、一九六九年に地域精神衛生業務連絡会がつくられたことである。戦時期以来の小平では、医師や看護婦などが多く存在していたが、組織ごとに連携がはかられることが少なかった。市内に点在して組織と医療・福祉の関係者を連携する組織ができたのであり、この連絡会は、一九七〇年代の小平市で福祉と医療を結びつけた取り組みを進める原動力になったのである。