市民相談と市政世論調査

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小平市では、市民の要望や意見を広聴活動によって市政へ反映させるため、一九六八(昭和四三)年四月から企画室(一九七一年より企画課)で「市民相談」を開始している。それまで各課の窓口でおこなわれていた相談業務を一元的に把握し、円滑な市政運営が目指された。
 小平市企画室の報告書『市民相談』によると、相談受付総数は一九六八年度が七六六件、六九年度が八四三件、七〇年度が一〇八四件、七一年度が一七六三件、七二年度が三〇八三件、七三年度が三八二八件と増加し続け、その後の七〇年代は二〇〇〇~三〇〇〇件程度で推移する。そのうち市政にかんする受付数は六八年度において二六二件、受付総数に占める割合は三四・二%で、その後の七〇年代は三〇~四〇%程度であった。こうした市政にかんする相談は、道路や下水道の整備への要望が多数を占めた。また、一九七二年から防災や公害にかんする内容も増加してくる。

図7-3 小平市企画室『市民相談』1968年

 企画課は市民相談に加えて、一九七四年から「市政についての世論調査」(一九七五年から隔年調査)を実施する。市民相談は、市民や団体個々の相談を受けることが主な業務であり、市民の要望や意見の動向を知ることが難しかった。市政世論調査をおこなうことで、市民の意見や要望の傾向を把握することが目指された。調査の目的は、市政への意見や要望の把握に加えて、市民の生活環境の把握という二つの側面があり、市内の公共施設の整備に向けた参考資料になった。
 一九七四年九月実施の第一回市政世論調査では、「住みやすさ」や「くらしやすさ」について質問している項目が目立つ。小平市を住みやすいと感じる人は三二・五%、普通と感じる人は四六・七%、住みにくいと感じる人は一七・五%であった。住みやすさに対する肯定的な評価を示した市民は、八割近くにのぼる。住みやすいと感じる人に理由を求めると、自然環境がよいことをあげる割合は六九・四%、長年住んでいて愛着があることをあげた割合は二九・六%、交通が便利であることをあげる割合は二四・三%であった。反対に、住みにくいと感じる人に理由を求めると、下水道・排水・道路などの生活環境がよくないことをあげる割合は八〇・七%、交通の不便さをあげた割合は四〇・五%、買い物の不便さをあげる割合は三七・一%であった。
 市民相談で市民への個別対応をおこない、市政世論調査で住みやすさやくらしやすさなどに対する市民の要望をまとめて把握することで、「長期総合計画」のもと、施設整備が進められていった。