市政世論調査の「地元意識」

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前述のように、「長期総合計画」の「基本計画」については、市報で、「小平に住んだからには他には絶対移りたくない…。そのような市民の願いがこめられた『緑ゆたかな住宅都市』づくり」を目指すとあった。「緑」と「住宅都市」が追求されるなかで、市民の「地元意識」と、そのもとで地域の人びとの協力しあう意識が次第に着目されるようになる。
 一九七四(昭和四九)年の第一回市政世論調査の回答者(小平市に居住する満二〇歳以上の男女、回答数三一七〇)をみると、小平市に居住する年数が一〇年以下の人は六五・一%、一一年以上の人は三四・三%であった(無回答〇・六%)。一九六〇年代半ば以降に小平市へ移り住んできた人々が、約三分の二程度を占めていた。
 これらの回答者について、小平市は他の指標も加えて調査を進めている。これからも小平市に住み続けるつもりの人(五五・四%)、わからない人(三一・一%)、可能であれば他市町村へ移り住みたい人(一二・〇%)という回答項目を設けた。また、小平市を「地元」と思って住んでいる人(四一・七%)、「仮住まい」の地と思って住んでいる人(二五・八%)、どちらともいえない人(三一・一%)も把握している。
 この調査項目をみると、「もしあなたが住んでいる地域の生活環境が郊外やその他の原因で悪くなったとしたら、ここにいて地域(地元)の人たちと力を合わせてよくしようと思いますか」という質問が用意されている。集計結果は、「地域(地元)の人たちと力を合わせ、頑張る」と回答した割合が六五・三%、どちらともいえないという割合が二〇・〇%、移転しようと思う割合が一一・五%であった。
 これらの世論調査から、小平市は、小平市で住み続けるつもりの人びと、小平市を地元と思って住んでいる人びと、「地域(地元)の人たちと力を合わせ、頑張る」人びとについての把握が、市政を点検するうえで重要であると認識していたことがわかる。

図7-4 小平市政についての世論調査票 1979年
『小平市政についての世論調査』第4回

 こうした地元意識や地域の人びとの協力しあう意識について小平市が市民に問いかけることは、市民憲章をつくる過程でも確認される。市民憲章の第五章として「わたくしたちは 力を合わせ みんなで市民生活を楽しみましょう」という標語が選ばれている。
 小平市は一九七二年、市制施行一〇周年の記念行事の一つとして市民憲章を制定する。市民憲章は「市民のひとりひとりが日常の生活をするうえでの心の持ち方を表したもので、市民の道しるべ」(『市報こだいら』第二三五号)となるものである。市報で市民に標語の応募を呼びかける際、市民憲章に込めたい内容を伝えるため、「緑ゆたかな街を心のふるさとに」(『市報こだいら』第二三六号、第二三七号)、「あなたは『こだいら』を愛していますか」(『市報こだいら』第二三九号)というような問いかけを付している。