ダイエーの進出に対して、小平商店会を構成する団体の一つである中宿商興会の会長によれば、ダイエーの進出結果について、商店主のなかには、最初から予想していた人と、まったく予想外だった人、予想どおりであっても、ダイエーという大きな会社が計画するので必ず出店してしまうと考えていた人、熱心に反対運動に取り組んで阻止する方法を真剣に考えた人がいた。反対した人のなかには、出店が決まるとやり場のない怒りを感じた人もいたが、真剣に運動をした人たちは、「必らず何んらかの勉強になったはず」であり、「決して無駄ではなかった」(近現代編史料集⑤ No.二四七)。
ダイエーが開店すると、折り込みチラシに戸別訪問、各種催物などのすべてが大規模で、商店街の人たちは先行きの不安を感じた。だが、ダイエーの進出に対して全力でぶつかり、大成功をおさめたスーパーもあった。この相違は、時代の流れを読み、反対運動だけでなく、次に何をすべきかを常に考えて行動したことにあった。これからの商店街活動で必要なことは、種々の問題を「自分達の問題」ととらえ、「積極的に取り組んで解決しようとする熱意」であり、このような「熱意」のある商店街が「必ず商売繁盛」になる。会長は回顧の文章を次のように結んでいる。「我々零細企業は団結あるのみ」、「団結と積極活動が出来る商店街は、必ず明るい明日が約束される」(同前)。
一九八〇(昭和五五)年、小平商工会ではダイエー進出問題を糧とすべく商店経営実態調査を実施する。ダイエー小平店の周辺二km圏内の商店街を対象として、「地域商業者の自覚と意欲を引き出す」ため、店舗の概要、売上状況、大型店対策、商店街の施策、経営者の経営態度及び意識の五項目について調査した(近現代編史料集⑤ No.二四八)。