小平市生活学校には、小川・たかの台地区から二〇人、花小金井地区から一三人(他市二人を含む)、上水・御幸町・学園東地区から一三人、学園西・津田から二一人、仲町・大沼・天神・美園町地区から二〇人の合計八七人の主婦が「かしこい消費者」になることを目指して集まり、地区別に分かれて活動をおこなった。参加者を全期間をとおして出席できる人に限ったせいか、一〇〇人の定員には達していない。参加者のなかには、一九五〇年代から婦人会活動をしていた人や、のちに公民館の婦人教室に参加した人もいたが、その数は少ない。テーマは、主婦と健康、繊維と洗剤、住まいと暖房、食品と知識、家庭の生活設計、買物研究など、主婦の身近な問題から選ばれ、テーマごとに数人の専門メンバーを迎え入れて、報告、講義、調査結果の発表、パネル討議などの方法ともども学習した。「うけたまわり」にならないように、事前の調査やテスト、資料集めなどを必要とする学習は、これまでの市民教養講座や婦人学級とは異なり、参加者がみずから課題に取り組む性格の強いものであった。こうした学習がやがて消費者運動につながっていく(『昭和四〇年度成人教育』)。
一九六六(昭和四一)年七月には、小平公民館と新生活運動協会により、「商品の正しい選び方使い方の生活展」が開催された。電気製品・薬品・炊事用品・洗剤などを実際に見て、ふれて、確かめながら商品の知識を得て使い方を学ぶ展示をとおして、「生活が商品や社会環境から安全に守られる権利」、「生活に必要な情報を受ける権利」、「自分の判断で、すべてを選べる権利」、「商品についてその意見をメーカーや商店にきいてもらう権利」という消費者の四つの権利を市民に啓発した。三日間で主婦ら約四〇〇人が展示会場を訪れた(『小平市報』第九一・九三号)。この四つの権利とは、一九六二年三月にアメリカのケネディ大統領が消費者の利益に関する特別教書で宣言したものであった。小平市内で消費者教育が広がりはじめ、市民のなかで消費者としての意識が徐々に高まっていった。
図7-15 消費生活展のようす 1966年
『小平市報』第93号