一九七三年一一月、オイルショックがおきて物価高騰や商品不足に人々が翻弄されている最中に、小平市では市政モニターへ「消費者問題と消費者行政」についてのアンケートがとられている。アンケート調査の結果によれば、東京都消費者センターや市の消費者相談窓口の両方の存在を知っていた人は二三%、利用した人はその一割にも満たなかった。しかし、公的機関のおこなう商品テストには半数以上の人が関心があると答え、家電製品や加工食品の購入の際に参考としている人が多かった。不良商品の排除や不当に高い商品の値下げに消費者運動の効果があると七割の人が認めるものの、消費者団体に入りたいと思う人は三割にとどまる。消費者運動が一部の人だけの運動になっていて一般消費者からの盛り上がりが少ない、消費者としての権利や力を主張したくてもできにくい無力感を感じている人もいた。安さを求めて大型スーパーで買物をするのは当然という声がある一方で、「大型店に買物が集中することは、薄利多売型のできる大きな資本力の前に零細業者が弱体化していくことにもなる。消費者はこのようなことに気づかずにいる」という反省の声もあがる。「地元業者は地域の購買層を研究し、商品知識を豊富にする一方、共同体をつくって、商品の組織化をはかり、産地からの仕入れなどについては、スーパーや生協に学ぶ」、「私達は商店から、商品だけを買うのではなく、人間関係も商品知識も買う」という信頼される店作りをしてほしいという商店への要望も記されていた。消費者は、必ずしも、安さだけを求めているのではなく、商店と消費者が「共に同じ地域において生活する者として、相互理解と共存共栄を考えていきたい」という市民の消費者意識の深まりも明らかとなったアンケート調査であった(『市報こだいら』第二七七号号、第二七八号)。
図7-16 市政モニター連絡会議のようす 1973年
『市報こだいら』第263号