鈴木ばやしは、鈴木町地区に伝わる江戸時代から続いている民俗芸能で、トンビ(笛)、シラベ(小太鼓)二基、ダイドウ(大胴=大太鼓)、ヨスケ(四助=鉦)の奏者からなり、囃子(はやし)にあわせシシやキツネ、ヒョットコ、オカメの面をつけた演者が舞う。曲目には「にんば」「屋台」「鎌倉」「国固め」「攻め」「四丁目」「昇殿」「太神楽」「宮昇殿」があり、山車で演じるほか、特設の舞台や座敷などで演ずる「居囃子(いばやし)」がある。
この鈴木ばやしに注目し、その保存継承を訴えた小平郷土研究会は、一九六二(昭和三七)年に鈴木ばやしの録音・映像化に着手した(『小平郷土研究会報』創刊号)。小平市は一九七〇年五月に鈴木ばやしを無形文化財に指定した。同時に、演者として伝承してきた地元の肥沼平次郎や西田泰三などと、郷土研究会の副会長であった金子博が会長になり、一般市民を巻き込みながら鈴木ばやし保存会を同年六月六日に発足させた。